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猫はこたつの中に
「音子は冬休みの予定は?」
2限目の講義が終わり、食堂に移動しながら友人の亜流歌に訪ねられる。
大学は、冬休みより夏休みのほうが気楽だと思う。
春学期と秋学期に分かれていて、春学期が終わった後の夏休みには課題がない。比べて冬休みは秋学期中の年末年始休みなだけだから、課題がある……。
「音子、聞いてる?」
亜流歌が、黙り込んでいた私の顔を覗き込んできた。
「聞いてる聞いてる……寒くて頭回らない」
「ほーんと寒いの苦手だよね、音子。どうせ冬休み中も猫みたいにこたつの中で丸まってる予定なんじゃないの?」
「そうしたいくらい」
私の答えに亜流歌が呆れたように肩を竦めた。
本当に寒いのは苦手なのだ。冬眠したいくらいには冬は嫌い。
最近の夏は暑すぎるから、それはそれで嫌だけど……。
「こたつで寝たら風邪ひくよ」
「まだひいたことないから大丈夫」
「ちゃんと布団で寝なさい」
「はーい、お母さん」
揶揄うように言うと、亜流歌に頭を小突かれた。
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