4話 カボチャがない!?

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4話 カボチャがない!?

カッ!! 魔法使いの魔法により、人参が凄まじい閃光に包まれる。 「キャア!!」 あまりの眩しさに思わず顔を両手で覆った。 「……目を開けてご覧、シンデレラ」 「は、はい……」 魔法使いの声に促され、恐る恐る目を開けて……更に目を見開いた。 「あ、あの……これは……何ですか……?」 恐る恐る、目の前にある乗り物を指さして魔法使いに尋ねる。 「何? お前はこれが何に見えるのだい? どこからどう見ても馬車じゃないか」 「え……こ、これが……馬車……?」 私は馬車を凝視する。 まるでレーシングカーのように細長い車体。とてもではないが、座って乗れるデザインではない。 そう、この馬車に乗るには寝そべるしか無いのだ。幸いにも横長の車体なので長さ的には問題は無いだろう。 「どうだい? 素敵な馬車だろう? いや〜我ながら良い仕事をしたよ」 魔法使いはため息を吐きながら、手にしていた杖でポンポンと自分の肩を叩いている。 魔法使いは大満足しているようだけれど……。 「あの〜……大変申し上げにくいことなのですが……」 恐る恐る隣に立つ魔法使いに声をかける。 「何だい?」 ジロリと睨みつけるように私を見つめる魔法使い。思わず、怖気づきそうになるも勇気を振り絞って尋ねた。 「折角、用意していただいた馬車なのですが……非常に乗りにくいデザインのように見えませんか?」 「そうかい? 斬新なデザインじゃないか。きっと皆の注目を浴びるに違いない」 「いえ、注目は浴びなくて結構なので……できれば、もっと乗り降りしやすい馬車に変更できませんか? 見ての通り、このようなふわふわのドレスでは裾が邪魔になってしまいすので」 「何だい? シンデレラのくせにこの馬車にケチをつけようって言うのかい? 全くいい度胸をしている……まぁよい。聞くだけは聞いてやろうじゃないか」 どこまでも横柄な態度を取る魔法使い。彼女の神経を逆なでしないように尋ねる。 「ありがとうございます。では……これはあくまで提案なのですが、人参ではなく違う野菜で馬車にしてみるつもりはありませんか? どう見ても人参はあまり馬車に適したデザインとは思えませんので」 私は人参は嫌いではない。いや、むしろ好きだと言っていいだろう。何しろ、毎日人参を食さない日は無いのだから。 けれど……今、目の前にある人参馬車? は、はっきり言ってあり得ない。 「何だい? 人参では不満というのか? だったら、どんな野菜が馬車に適していると言うのさ?」 あくまで、野菜の馬車にこだわる魔法使い。 「はい、それではカボチャなどいかがでしょうか? カボチャはまんまるのフォルムがとても美しい姿をしています。まさに馬車にするのに適した野菜だと思いませんか?」 私は苦手な野菜であるはずのカボチャを必死でアピールする。何としても人参馬車を変更してもらわなければ。 すると、魔法使いはポカンとした顔つきで私を見る。 「は? お前は何を言っているのだい? カボチャ? それは何のことなのさ」 「え? カボチャですよ? 普通の大きさなら手のひらに乗るくらいで……中にはとっても大きく育つ野菜……それがカボチャです」 しかし、ますます魔法使いは眉をしかめる。 「何だい、さっきからカボチャカボチャって……そんな野菜、見たことも聞いたこともないよ。存在しない野菜を口にするんじゃない!」 「え?」 私は思わず耳を疑った――
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