雪女に赤い花束を

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 12月の初旬、長野県の上田(うえだ)市、菅平(すがだいら)高原にある大規模なスキーリゾートのリフトから二人ずつの若い男女が降り立った。  晴れた空のところどころに帯状の雲がたなびき、やや強めの風が吹いていた。ゲレンデは一面が分厚い積雪に覆われ、スキーをするには絶好の条件に見えたが、実際に滑っている客の姿はまばらだった。  高価そうなスキーウェアに身を包んだ4人の若者はゲレンデの下り斜面を一望して歓喜の声を上げた。ニットのスキー帽から金髪に染めた髪が長くはみ出している男が言う。 「おお、こりゃ最高じゃん。パウダースノーってやつ?」  スキー帽に髪がすっぽり隠れ、うっすらとあごひげを生やしたもう一人の男は背中にスノーボードを担いでスキー版を履いた。 「ああ、途中からはアレいけそうだな」  長い黒髪の女と茶髪のボブカットの女は、ゲレンデの真っ白な斜面を見渡した。長い髪の女が男たちに訊いた。 「ねえ、これ、滑りやすいって事?  ボブカットの女も興味津々の表情で訊いた。 「うちらこの前まで初級者レベルだったから、中級者コースはちょっとまだ怖いんだよね」  金髪の男が笑いながら答えた。 「大丈夫だって。このコンディションなら初心者でもいけるぜ」  4人はスキー板とストックを身に付け、しばし斜面の中段までの滑走を楽しんだ。
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