4-4.慈雨に包まれて

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 誰かのせいにしなければいけないという固定観念に囚われていた。それが間違いだとようやく気付かされた瞬間だった。  騒つく広間から、ボソボソと王都民の声が聞こえてきた。先程までとは全く違う頼りない声だ。  「す、すみませんでした、王様…」  「我々は忘れていたのです。努力すると言う事を。どうかお許し下さい。」  「誰かを助けたいと思う気持ちよりも、自分が助かりたいとばかり考えていました。」  「どうかお許し下さい…王様!  我々に慈悲を……!」  急激に変わり始めた王都民の様子を見て、ムヤイヤドやルシュディー、それにアメナはほっとした顔をした。  それから皆で一斉にザイード達に向かって手を振っている。    「お前達……」  ザイードはそれに感極まり、思わず泣きそうになる。まだ未熟な子供のような部分もある。  しかし感情を抑え王として、空に手を突き出し、テラスから応えるように手を振った。  何て頼もしいのだろうか。皆が自分のピンチに駆けつけてくれて救ってくれた。  ザイードの胸に熱い気持ちが込み上げる。    「ザイード様……!国王様!  私達はいつだって貴方の味方です!  なんせ私達は【殿下を幸せにし隊…改め国王陛下を幸せにし隊!】の会員なんですから!」  アメナが二つ結びした髪を揺らし、嬉しそうに手を振っている。  そう。  当初はアメナとアクラムだけだった【殿下を幸せにし隊!】は、今やムヤイヤドとルシュディーだけでなく何とマタルの町民全てがそうだった。  誰もがザイードの幸せを心から願っていたのだ。  彼に救われたから。
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