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先程まで謝罪の言葉で埋め尽くされていた広間が、今度は一気に歓迎ムードに包まれていった。
「王様、我々も努力します!困っている隣人を助けて…マタルの町民のように諦めないって誓います!」
「だから王様…!頼りにしています!どうか我々をお導き下さい!」
「王様!王妃様!新マトハル国に祝福を!」
歓喜に包まれた広間を見たルシュディーがまた鼻で笑った。
「ったく、本当に国民てのはワガママだよなあ。」
「確かに。これは陛下も大変だろうな。」
やれやれ。
そんな風に振る舞いながらムヤイヤドやルシュディーらは、宮殿の中心部にいる若き王を眩しい気持ちで見上げた。
誰からも必要とされず、誰よりも王に遠いとされていたザイード。
だが彼が誰よりも王に相応しいという事を、彼らは一緒に過ごした5年の間に気付いていた。
遠い過去から現在までの事を走馬灯のように思い出し、2人は親心を滲ませ豪快に笑った。
「陛下を…俺を幸せにし隊…?
何なんだ、それは一体…」
よく分からないと言いながらもザイードは何だか照れ臭くなりテラスに膝をつき、口元を手で覆う。
そばで支えられていたナーディアが弱々しくも何故か嬉しそうに微笑んだ。
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