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「陛下…ザイード様。
皆にとても愛されているのですね。
貴方の顔がとっても嬉しそうで…私も嬉しいです。」
ナーディアの柔らかな手がザイードの頬に触れる。
愛する女性から向けられる純粋な好意。
自分を慕ってくれる者達の勇気ある行動。
こんなにも幸せを感じていいのだろうか。
(誰からも必要とされなかったけれど)
(今はこんなにも自分の事を大切にしてくれる人々がいる)
(幸せとはこういうものなんだな)
(———綺麗な涙ね)
(私の夫はこんなにも素敵な人なのね)
(確か私の時も…こんな風に泣いてくれたわね)
(好き——ザイード様がとても好きよ)
(愛する私の夫)
(こんなにも優しくて愛おしい人を温かく包み込んであげたいわ)
彼を恋しいと感じ。
胸を痛めるほどに切ないと感じ。
側にいると温かく、甘やかで蕩けるような気持ちが溢れて押し寄せる。
その時、美しい涙を流すザイードとしっかり握り合った手に不思議な光が灯った。
何とも不思議な発光で、白銀に輝く、温かな光が。
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