ぼくらの希望の星

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「おはよう、(あお)」 「おう、おはよ。……ん?」  僕は軽く眉を上げた。 「なんだ、はもう夏服か」 「えへへ、今日から(かい)(きん)なんだ。どう?」 目の前でひらひらと(ちよう)みたいにスカートが回り、僕は目のやり場に困って視線を(はず)した。 「それより頭痛と(けん)(たい)感はもう大丈夫なのかよ」 「あ、コロナ後遺症? うん、もうだいぶよくなってきたかな」  Y高の校章が入ったセーラー服を着たありなは、(うで)を曲げて力こぶを作る()(ぐさ)をした。 「ごめんね、冬場は迷惑かけちゃって」 「別に。たいしたことはしてねーし」  僕はありなに気づかれないよう、そっと息をついた。そうか。よかった、元気そうで。  昨年末から今年初めにかけてのコロナ第八波、あれは最悪だった。僕は本気で世間を呪い倒したかった。三年間ずっと()(しの)んできたあげくの()てがこれかよ。なんで今なんだ。(たの)むからやめてくれ。僕らの受験はこのワンチャンスしかないんだぞ。
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