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「蒼は一斉休校中、何をしてたの?」
世界中に疫病が蔓延し、緊急事態宣言が出された最初の春。ようやく中学生として登校できた最初の週末、観世ありなは親しげにそう聞いてきた。
「べつに。ゲームしたりアニメ見たり、普通にダラダラしてたよ」
三月から三ヶ月近くも家に閉じこめられて、特段することなんかなかったろ、と肩をすくめると、ふぅんとありなは鼻を鳴らす。こいつと葉狩蒼、つまりこの僕は小学校からの腐れ縁で、どういうわけか同じ学級、しかも近い席になることが多い。
「でもさ、一斉休校も、けっこう楽しくなかった? 非日常な感じで」
「あー。まぁここまで休むんならもう、夏休みまで続けて休んでもよかったんじゃね、とは思った」
「あ、それ、わたしもー」
「とか言って、どうせ家でがっつり自習してたんだろ」
「がっつりかわかんないけど、勉強はしてたよ」ありなは恬として言い切った。「だって、他にすることなかったじゃん?」
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