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キャンプ場の使用届は浅井先生がしてくれている。先輩たちは平坦な場所に望遠鏡を乗せる三脚を設置し、その横に荷物を積み上げていた。この横にテントを設営し、中に望遠鏡につけたカメラからの画像を表示させるためのパソコンを設置する。エンケ彗星は明るさ6等級で、街の光の海の中では観察がやや難しい。それで、せっかくだからと山奥のキャンプ場まで来たのだった。まだ明るかったが高山は西の空を見つめた。
テントの設営が終わると梶谷と矢野は炊事の準備を始めた。レトルト食品とカップ麺だけのものだ。今日の夕食と夜食。明日の朝食が兼ねられている。
カセットコンロをテーブルの上に出し、登山用の鍋を載せた。
「高山ぁ! 水!」
梶谷は叫んだ。
「あぁ……」
これって自分の役割だっけと疑問に思いつつもポリタンクを手にしてキャンプ場の水くみ場に歩いて行った。
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