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第1話 なんでこんなことになったのよ!
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このお話は「カプチーノ・スクーロ」の番外編です!
本編で登場する璃世の妹、璃亜のお話なので、本編を読んでから読んでいただけるとストーリーがつながります。
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「大河、起きて。起きてってば。」
ベッドの端に座って、寝ている大河の名前を呼びながらゆすった。
「うるさい…ん?」
「うるさいって何?せっかく人が来てあげたってい…ひゃっ!」
大河がわたしを自分の方へ引き寄せた。
「璃世…」
「ちょっと…」
「やだっ大河ったら!」
その声で、わたしを抱きしめたまま大河が起き上がる。
少し開いたドアのところに大河のお母さんが立っていた。
「何見てんだよ?」
と大河が怒った。
「だって、大きな声がしたから心配になって。ごめんね、邪魔しちゃって。続けて続けて。」
そう言うと、大河のお母さんはドアを閉めて出て行った。
「何で璃世の妹が朝っぱらからここにいんだよ?」
わたしを見て大河は不機嫌そうに言った。
「そういうの、手を離してから言ってくんない?」
わたしに言われて、ようやく気づいたのか、手を離してくれた。
「…オレ、何か言った?」
「はい。大変未練がましいことを。」
「その顔で言うな。傷つく。」
「あんたの傷なんて知らないわよ!こっちだって大変なんだから!」
「…ごめん。」
素直に謝られて拍子抜けしてしまう。
「ねぇ、蒼に、あんたの気持ちバレたらどうすんの?」
「蒼は、オレが言葉に出さない限りは、気づいてたって知らないふりを通すよ。」
璃世は絶対気がつかないか…
ちょっと切ない…
双子の姉の璃世が蒼とつき合ってるって最近知った。
だから大河は失恋したことになる。
仲のいい友達の彼女が好きな子って、きつい。
それなのに、その好きな子と同じ顔のわたしが大河のとこにこうして来てるんだから、ほんの少しだけ申し訳ない気持ちはあるけど。
「あんたの失恋なんかどうでもいい!「わたしたち」の破局が遠のいたのは大河のせいだからね。お母さん、嬉しそうに部屋出てったよ?」
「悪かったって。そもそもお前が人の寝込みを襲いに来るのが悪いんだろ?」
「そんなこと言われたって、お母さんが『起こしてあげて』って、ここに連れて来たんだから。わたしは何回も名前呼んだよ?」
「あいつ…わざとだ。」
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