20人が本棚に入れています
本棚に追加
2:街のなかへ
物語の世界に浸っていた私は、窓を叩くような音にはっとした。
顔を上げると、ベティが前足を器用に使って窓を開けようとしている。
「ベティ! ダメよ」
必死に声を出すものの、彼女はサイレントレインディの街中へと飛び出してしまう。
どうしよう、と思った。
今、外に出るとおばあさまとの約束を破ってしまう……。
「すぐに戻ってくれば大丈夫よね」
ベティを探し出して、それでちょっとだけ街を探索して、帰ってくればいいだけだ。
私はこぶしを握り締めた。
最初のコメントを投稿しよう!