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高架を時速130キロで行く電車が少しずつ羽田空港に近づいていく。
地下を走るから、車窓から風景を眺めることはできない。
しかし、もうすぐだ。
到着のアナウンスが車内にこだまし、扉が開くと同時に私はホームに飛び出した。
会いたいと思う気持ちが募って、どんどん加速していくみたいに胸が急く。
三階まで続く聳えるように長いエスカレーターを駆け上がりながら、周りを見回す。
思ったよりもずっと人が多い。
エスカレーターを降りて、空港内の案内掲示板を目にする私の息は荒くなっていた。
呼吸を整えながら、じっくりと見る。
エールフランス航空のチェックインカウンターの番号はスマホで確認済みだが、もう一度指で追って、頭に入れる。
出発出口を目指せば、手前に搭乗手続きのカウンターがある。
まずはそこを目指す。
もつれそうになる足を叱咤し、目的の場所に向かった。
Aから続くアルファベット表記が目に入る。
エールフランス空港は『J』のカウンター。
しかし、そこに晴翔らしい人の姿は見つからない。
そうなると、まだ手続してないのかもしれない。
空港内をうろついている可能性もなくはない。
一度立ちどまって、ぐるりと周囲を見回すと、明るい茶色の髪の男性を発見した。
黒のダークスーツにすらりとした後ろ姿。
――待って!
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