ライバル

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ライバル

翌朝、嬉しいことに、史子が速足で先に行かず俺の隣を歩いて登校してくれる。 「今日は先に行かないの?」 俺がそう言えばうっとうしそうに史子が言う 「今さら他人のフリなんてしても意味ないし朝から余計な体力使いたくない」 「今までは使っていたのに?」 俺がそういうと史子はキッと俺を睨む 「ナイフ出されるのが珍しくない弟とかほっとけないじゃない」 おお、これは一歩前進、 「東雲にお礼を言いたい気分だよ」 「なんで加害者にお礼言おうとしてんだよ!!」 割と強めのパンチが脇に刺さる、結構効くもので痛たたと言っていれば「早く行くよ」と言われて「殴ったの史子じゃん」と言えば「軟弱者」と返される それは聞き捨てならない 「演技のために結構鍛えてるんだけどなぁ」 と言えば「はぁ?」と言った後に何かを思い出したようで「まぁ確かに肉付きいいよね」という風呂上りに上半身裸でミルクを飲んで母さんに怒られたことを思い出す、そういや史子も居たなと思いながら少し史子が赤くなっていることに気が付く、まだ残暑残る秋のはじめ、赤くなるには早い季節、なるほど、そういうのには照れるのかと知って少し笑ってしまった。 学校につけば史子のほうにいつもの男子生徒、確かボロックが史子に話しかけにくる 「史子、今日は弟と登校か」 「面倒な人生歩いているみたいだからね」 なるほど、史子はボディーガードのつもりなんだろうがこんなに可愛くて美人なら逆に俺が虫よけの気もするが・・・・それを言えば怒られてしまいそうな気がするので黙っておこう 「史子のおかげで安全だったよ」 ニコニコして言えば辟易とした顔で「ハイハイ」という史子、そこにいつもの取り巻きたちと友人が集まる 「おっはよー良輝ー」 「良輝はよー」 「おはー良輝」 「おはよ、良輝、今日はお姉さんも一緒なんだ」 史子はうわっといやそうな顔して離れようとしたが、取り巻きの中で一番落ち着いてリーダーをしている零(れい)が史子に抱き着く 「昨日の史子先輩ちょーかっこよかったですよー、良輝を助けてくれてありがとうございますー、スタントマンとかしてたんですかぁ?」 史子は逃げたそうにしながら返事をする 「スタントマンとかはしたことないです、知識があっただけで、良輝を助けたのは姉なので当り前かなって」 「そうですよね、史子先輩は【姉】ですもんね」 そう言って離れる零、余計な事をする、姉だから恋人の位置を狙うなよと釘を刺したつもりなんだろうが、俺を全く意識していない史子は「はぁ、」とよくわかっていない顔をしている「じゃぁもう行くから」と史子は俺に言って先に歩いていく、 「史子!」 俺の声に史子は振り返る 「今日オフだから一緒に帰ろう、夕飯の買い出しがあるんだ」 俺の声に「わかった」と一言残して先に行く史子、取り巻き達は、「えー今日カラオケ行こうと思ってたのにぃ」なんて言うので「みんなで行っておいで」と言えば、「良輝も行こうよー」なんて言うので「俺は東雲の件でしばらく遊びに行けないんだ」と言えば「東雲めぇ!」と話題は東雲への悪口に代わるのだった。 昼休み、俺と友人は屋上で食事をすることになった。女子達は焼けたくないと教室に残る 屋上で俺は母さんの愛情弁当で母親が看護師で忙しい友人は菓子パンを食べる。 「正直さ、良輝、史子先輩好きだろ」 ごふっと食べていた物を詰まらせて咳込む 「げっほげっほ、そ、そんなにばれやすかった?」 友人の健介はニヤッと笑う 「お前ぇ、如月先輩睨みまくっといてよく言うよ、まぁ気付いてんの俺と零だけだけどな、いやぁでも佐藤先輩が最近成績よくなったり垢ぬけてきたのが良輝の影響かぁ、もしかして史子先輩も良輝の事好きなのか?」 健介の言葉に乾いた笑いをする 「逆、嫌われてるんだよね、史子生活力0でさ、寝る間も惜しんでゲームしかしないから俺と母さんでちゃんと食事させて寝させてって事をしてたし、最初っから芸能人の弟最悪!って感じだったから今日一緒に登校できてマジ東雲に感謝だよ、あの子が切りかかってくれたおかげで俺一人だと危ないと思ったみたいだからさ」 ほーと言ってニヤッと笑う健介 「つまり美人になったのは良輝と真絵の功績か、何?光源氏?」 にやけ顔で顔を覗き込んでくる健介の顔を抑えてどける 「そんなんじゃ無いわ、美人になったのは母さんのおかげだな、娘が欲しかったのよーとか言ってヘアケアとかスキンケアとかしてあげているからな」 俺がそういうと何を想像したのか上を見る健介 「なんか想像できるわ、真絵さん小さい良輝にもスキンケアとかヘアケアとかするついでに泊まりに来た俺にもしていたもんな、お前の家から帰ってくるとスベスベしていい匂いするって母ちゃん言っていたわ、てか、はぁ、真絵さん再婚、やっぱりショックぅ」 「親友の親を狙いうなと何度言えばわかる」 「人妻は狙わねぇよ、もっといい女探すわ」 「お前、零達に手出してなかったか?」 「それは遊びじゃん」 「クズかよ」 そんなたわいない話をしながら昼休みを過ごしたのだった。 放課後、カラオケに行く健介と零達と別れて3年の教室に行く、道中「良輝君バイバーイ」と声をかけられたり、「本当に佐藤さんと姉弟なんだ」とかささやかれながら史子の元へと向かう、史子と一緒に帰れる、史子が俺を待ってくれてるとワクワクしながら史子の教室に足を進める、そして目的の教室に入るともう教室には、ほぼ人がいない、史子の机と思われるところで、史子と昼に健介が言うには如月先輩が話している、学校に居る時はまさかいつも一緒なのか?と思っていれば如月先輩がびくっとしてこちらを向く、そしてそれに釣られて笑顔の史子の顔もこっちを見るので俺も嬉しくなるが史子の笑顔はすぐに消えて物調面に変わる、そんな顔さえも愛おしいのだから恋とは不思議だ。 「迎えに来たよ」 入口からそう言えば、嫌々帰りの準備をする史子の隣でカバンを持って立っている如月先輩が先にこっちに来る 「良輝君そんなにわかりやすいのに何で史子に気づかれてないのさ」 「あ、学校だと普通にしゃべるんですね」 いい声ではあったがデュフフとでも笑いそうなオタク言葉でしゃべっていたボロックとはだいぶ違うようだが声は一緒のような気がする、だいぶキャラが違うがこっちが素何だろうか 「学校であんなしゃべり方していたらいじめ待ったなしだよ」 「まぁそうですね」 こそこそと話していたら史子が来る 「何?学校で性癖の話でもしてるの?」 何でそんな思考になるのか、と思っていると如月が呆れたように言う 「そんなわけないだろ、史子にはわからない話をしていただけだよ」 「わからない話ぃ?さらに怪しいでしょ、てかさっさと帰ろうよ」 そう言って先に廊下に出ていく史子、この感じもしかして如月先輩と史子は性癖の話を普段しているのか?と思うと少しジェラシーを感じながらある考えに至る、そうか、如月先輩と仲良くなれば史子のことがいろいろ聞けるのかと、思いついてしまえばこれは動かない手はない 「如月先輩、今日予定は?」 俺がそう聞くと如月先輩は疑問の顔をしながらも答えてくれる。 「宿題も終わっているし帰ってゲームするだけだけど?」 つまり時間はあるのかと聞いてみる 「うちにご飯食べに来ません?」 そう言うと史子も反応する 「何言ってんの!?」「いいのか?」 「ちょっと祥壱(しょういち)!」 如月先輩は下の名前祥壱なのかと思いながら二人の会話を聞きながら、母さんにSNSで連絡すれば、【史子ちゃんのお友達ならいいわ】と許しを得る 「だって芸能人の家だぞ、しかもあの笠野良輝とか行くだろう、50回目の勇者の声優もしてるんだぞ生フージ聞き放題」 「フージファンじゃないじゃん!」 「勇者の師匠ケントの1番弟子の声だぞ、聴きたいだろ、それとも家に行くと不都合あるのか?」 「別にないけど・・・・」 話は纏まった様だ、 「じゃあ母さんからもOK出たから遊びに来てくださいよ如月先輩」 「行動早!」「いえーい芸能人の家だー」 そんなにテンションの上がった顔には見えないがピースを史子に向けて、その指を曲げられそうになっている如月先輩との会話に嫉妬しながらも、今度からは自分もこの輪に入れるように如月先輩に史子の事を教えてもらうのだと決意を固めて、盛り上がる二人に声をかける。 「史子、今日は昨日のお礼に俺が料理するから好きなの選んでしいぞ」 俺がそう言うと史子は目を輝かせる 「なんでもいいの!?」 「なんでもいいよ」 「じゃあハンバーグと、エビフライとオムレツとコーンスープ!」 なんだかそれは 「「お子様ランチ?」」 俺と如月先輩がそう言うとぷうぅと不機嫌になる史子 「なんでもいいって言った。」 そんなかわいい史子に俺達は笑ってしまう。 「なんで笑う!」 怒る姿も可愛くて参るなぁなんて思いながら謝る 「ごめんごめん、でもそれだけじゃバランス悪いからサラダも食べてね」 俺がそう言うとうーと唸る史子 「人参入れたら殺す」 「今日は入れないよ」 ポンポンと小さな史子の頭をなでればバシッと手を払いのけられる、くすくす笑いながら先に歩いて行く史子、そしてスーパーに入る、その後ろを如月先輩とついて行く スーパーに入ったら史子が予算は?と聞いてきたので、「僕の払いだから気にしなくていいよ」と言うと「言ったな?」と言ってわくわくと食材を選んでいる史子、結構いいものを選らんでいるが激安スーパーなので僕の財布が泣くことは無いだろうと思いながらそんな姿を眺めていると、如月先輩がこそっと話してくる 「君のたくらみは俺に史子の事を聞きたいってところかな?」 「よくお分かりで」 そう言えば「わからいでか」と言われるネットスラングなのかどうか知らないがなじみのない言葉、たぶんわからないわけないということだろうとあたりを付ける 「まぁ史子と過ごしてるのはゲームも合わせれば俺のほうが長いもんなぁ」 そう言いながら如月先輩はスマホを取り出す、 「連絡先、交換するか?」 それに俺はチャンスを逃さないように言う 「ぜひ」 そう言って俺もスマホを取り出して、素早く連絡先を交換するのだった。 エビを吟味している史子にはバレることは無かった。 「祥壱どれがいいやつか、わかんない」 「あ?俺もよくわかんねぇよ」 連絡先の交換が終わってさっと俺たちはスマホを隠した時に史子に呼ばれる如月先輩 わからないと言いながら一緒に選んでいる、なんだか史子は楽しそうで、そんな笑顔を向けられる如月先輩はやっぱり羨ましいなと思いながら二人を見る、結局一番値段が高いものにしたようで他に必要な物を買って家に帰る、 俺はキッチンに行き二人は史子が部屋から持ってきたノパソを見ながらダイニングでゲームの話をしている、そうしていたら母さんが帰って来ていらっしゃーいと歓迎した後に母さんは自分の部屋に向かうそんな母さんを見て如月先輩が「やっぱり顔のいい奴の親は顔がいいな」と言っていて俺は笑いながらお礼を言う、次に誠治さんが帰って来て「おー君が史子のお友達?男の子だったんだぁ、いらっしゃーい」なんてゆるゆるお父さんは変わらずの反応、誠治さんも着替えに行けば「史子の父親も勝ち組ではないか、裏切りだ」などと言って「本人がくそだったら意味ないだろ」と言われ「史子は性格はアレだけど見た目は勝ち組なのそろそろ自覚しろ?」などと言われて「性格アレって何だ!」とプチげんかも楽しそう、なんだか史子は如月先輩といる時は楽しそうだなと思うのだった。 俺が作っていれば僕も手伝うよと誠治さんが言ってきたが、俺が「史子へのお礼だし、お仕事でお疲れでしょう、休んでてください」と言うとお父さんは感動したように「君はできた息子だよね、僕は本当にいい息子をもったよ、言う通り休ませてもらうね」と言ってリビングのソファーの方に行って本を読みながら楽しそうな史子と如月先輩を見ている、男友達だから気になるのだろう、次に如月先輩がいるから、母さんは楽だがよそ行きの格好でキッチンに来て私の息子を守ってもらったのだからと一緒に料理をした。 それぞれが楽しくしていて、料理が完成した。 「ほら食べるぞ史子、パソコン片付けて、」 「は~い」 史子がパソコンを片付けて俺と母さんが机に料理を運んで机をセッティングする。 そして仲良くみんなで御馳走を食べだした。 「如月君は彼氏とかじゃないんだよね?」 誠治さんの言葉に俺はかたまり、嬉しそうにエビフライを取ろうとしていた史子は迷惑そうな顔をしている 「何言ってるのさ、祥壱は心の友だけどそんなんじゃないよ」 そう言ってエビフライをとって史子だけに用意したオムライスを口に入れて幸せそうだ、他の人は白ご飯がいいと言うので白ご飯だ。 史子はこの中で一番小さく、その料理の楽しみ方が幼く見せ、姉と言うより妹のようだ。 「そっかぁ、僕いつか史子が連れてきた男の子に「お前に娘はやらん!」て言うのが夢なんだぁ」 それに母さんが笑う 「前から言ってるわよねぇ、言えるといいわね、誠治さん」 「真絵さんと良輝君が史子を綺麗にしてくれて生活力つけてくれているから絶対かなう夢になってると思うんだぁ、最近は全然だけど史子たまにオフ会とかも行ってるもんねぇ」 それに史子が言う 「オフ会いっつも同じメンバーだし唯一の男子は祥壱だけだよ」 「えぇそうなの?そっかぁじゃぁ恋人こう」「「それはない」」 バッサリ切られる誠治さんだった。 楽しい食事も終わり、芸能人の部屋が見たいということで初めて史子も僕の部屋に入る、いつも俺は史子の部屋に行くが史子は俺の部屋に来たことは無いのだ。 「どうぞ」と言って部屋を開ければ 「「モテ男の部屋だぁ」」となぜかげんなりされた。その後はオフレコだよと言って芸能界の裏話などをする間、史子はとても楽しそうで、でもその笑顔はどうもやっぱり如月先輩に向けられているようで、付き合いう時間の差だとは思っていたがやっぱりライバルは如月先輩でキーマンも如月先輩だなぁと感じて、ゲーム始めようかななんて思うのだった。 あまり遅くなってはということで20時には如月先輩も帰っていった。如月先輩を見送るとすぐにSNSが飛んでくる 【今夜ゲーム一緒にするかい?PCのゲームを今日はするのだよ、もちろん1時までで辞めるよ】 それに俺は史子を見てニヤッと笑う 「何笑ってんの?気持ち悪い」 「秘密だよ」 俺がそう言うと史子は「ハイハイ、芸能人は秘密主義ですねぇ」などと言いながら家に入るのだった。 【宿題するので23時に参加しますULRだけ教えてもらえますか?】 とメッセージを送ってから部屋に入るのだった。
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