ヒーローは姉

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ヒーローは姉

史子の生活管理をしながらも学校では他人のようにという生活をずっと続けている、夏休みも平和に過ごし、むしろ史子は沢山ゲームができて嬉しそうだ、まぁそれでも生活は変えないから生活管理はしているのだけど、そして夏休みが終わるとまた普通の生活、史子と他人のフリの生活、何だか自分の知らない顔を他の男に見せる史子を見て、わざと姉さんと言って抱き着いてやろうかなんて思う事もある、自分はどうしてしまったのかあんな生活力皆無の女に何を思うのかと、周りの派手に着飾り、自分をブランドのように見て来る女子を見て女はこうだよなと安心する、そう、俺の周りの女はこんな奴らばかりなのだから、そうやって過ごしてきた。今までずっと、女はそんなものだと、 史子の生活管理をして学校に通う日は他人のように、学校では周りに当たり障りのない対応をしながら生活して居たが俺は朝から現場だったりもするので学校に行くのも少ない、少ないのだが、関わる女子は居るものだから面倒な者が湧いてしまった。 「ら、良輝君」 朝の登校時間に久々の登校で、あまり関わりたくないものを持った女子に呼び止められる。ナイフ片手に登校なんてアグレッシブだなという感想を持ちながら、どうなだめようかと考えを巡らせる。 「東雲さんだったかな?僕に何か?」 「うれしぃ・・・やっぱり覚えていてくれたぁ」 喜び、顔を緩ませる東雲、そして恍惚とした表情に怒りも浮かべて俺の取り巻き達を見る 「そこの女たちがね?良輝君は私には興味ないとかいうの、そんなことないよね?良輝君は私のこと好きだったんでしょ?ねぇそうだよね?そうだよね!!だって良輝君私にとっても優しくて、私に笑いかけてくれたもんね!?私達両思いでしょ!!」 確かな確信を持つように話す東雲、さてどう答えたものかと考えていると東雲顔が変わる 「どうしたの?どうして答えてくれないの?ねぇ!良輝君!違うっていうの?ねぇ!」 めんどくせぇなぁ思っていたらこちらが返事を返さない事に我慢ができなくなった東雲早口になる 「もういい、もういい!どんなに否定したって!されたって死んだら私の物だもんね!そうだよね!そうだよね!良輝君!」 そう言って東雲がナイフを振り上げて走ってくる、取り巻きたちは逃げて行く、俺も避けようとしたら目の前に一つに纏めた黒いさらさらとした髪が横切り小さな体の女の子が東雲の腕をとり、ねじりあげて押さえつける 「離せ!離せよ!あんたには関係ないでしょ!」 「弟殺されれそうになって関係ない顔できるか!」 そう叫ぶのは今の動きで瓶底眼鏡が飛んでいき綺麗な顔が顕わになった史子だった。 多分取り巻きの一人が呼んだ警備の人が東雲を連れて行く、被害者で警察の聞き取りもあるだろうからと俺と史子も連れていかれることになり、質問攻めしたそうな生徒たちを残して職員室に行くのだった。 そして教師に「そこで待ってて」と来賓室に連れてこられ、静かに座る俺と史子、教師が出ていくと史子は頭を抱える。 「やってしまったぁあああああ!!私のバカあああ」 俺は守られるなんて始めたのことだったので、今とてもいい笑顔をしている自覚がある 「無視すればよかったのに、あれくらい避けれたし」 俺の言葉に史子はむすっと不機嫌になる 「あの子暴れまわる気だったじゃん、あんたの綺麗な顔に傷がついたら母さん悲しむ」 綺麗な顔と褒められてこんなに嬉しいのかと思うほど嬉しい、今までさんざん言われた言葉だ、なのに史子に言われるとこんなにも嬉しい 「綺麗な技が決まってたね護身術でも習っていたの?」 俺がそう聞けば俺の顔を見てすごく気味の悪いものでも見るように言う 「ゲームしかしてないの知ってるでしょ、知識としてあっただけ、てかなんでそんなに嬉しそうなの?」 まぁそうだろう、さっき切りかかられたのにとてもいい笑顔をしていれば不思議にもなるだろう 「守られたのは初めてだったからうれしくてね」 「初めて・・・待って襲われるの始めてじゃないの?」 その質問にまぁ普通はない話だよねと思いながら話す 「まぁ中学の時も2回くらいね、アンチ対策に周りにはいい顔をしているからたまに勘違いした子が暴走してそれを周りの子が諫めたら仕返しにくる子もいてね、今回もそんな感じだったし僕には珍しくないよ、いつも近くに居る友人達も慣れてるからね、いつもは逃げた子が警備員呼んでくるまで逃げ回ってどうにかするんだけど守られるのは始めてだ」 嬉しそうに言えば、はぁとため息を一つついて頭を抱える史子。 「どんな世界だよ恐ろしい」 微妙な顔をした後に史子は俺を見る、そして頬に手を当てる。 「でも良輝がケガしなくてよかった」 柔らかな優しい笑顔にドキドキと心臓が早鐘を打つ、あ、俺は史子が・・・・ 自分の気持ちに気がつき俺が史子の手を取ろうとするとノックされて人が入ってくるので、その手が引っ込む、少し残念に思って落ち込んでいれば警官の人が入ってくるので気持ちを切り替えて事情聴取されるのだった。 事情聴取が終わって教室に帰る、史子は瓶底眼鏡が割れてしまったのでゲームをするときにつけているスペアの眼鏡をつけるものだから、史子の隠された美貌が周りにさらされる、 こそこそと「あの美人誰?」とか騒いでる声も聞こえるから面白くない、史子の美しさは俺だけが知っていればよかったのにと少し嫌な気分になる、俺だけの宝物が見つかった感覚につい笑顔を忘れて史子を美人だと言う生徒を睨んでしまって生徒が怯えていた。そして2年の俺の教室の前に来て別れる「じゃあね」と言えば「また」と言って別れてくれる。学校で会話できることがこんなに嬉しいのかと思っていれば取り巻きたちが集まってくる。 「佐藤先輩がお姉さんってマジ?」 ワイワイと集まる取り巻きたち、「佐藤先輩って美人だったんだな、狙っちゃおうかなぁ」なんて言う友人に笑顔を向ける 「それ、冗談だよね」 「お、おう、あったりまえだろぉ、先輩オタクっぽいしなぁ!」 笑顔のはずだが怒りがにじみ出たようで、親友の顔が引きつる 「オタクと言えば昨日のアニメ見た?」 と取り巻きの一人の零が言って話は変わるのだった。 昼からは仕事で上機嫌で現場に入り、この世で一番幸せ、みたいな顔して、と言われて今日史子に笑顔を向けられたことを思い出せばなかなかカットが聞こえない、「監督、監督、」と小声が聞こえてやっとカットが聞こえて、「今日最高だね良輝君!」と褒められるのだった。 家に帰るのがいつも以上に楽しみでわくわくしながらマネージャーの車に乗ったらマネージャーにも聞かれる 「今日機嫌がいいねぇ、朝事件があったって聞いて心配してたのに」 それにやっと自慢できると俺は喜ぶ 「それがさ!史子がかっこよく助けてくれたんだよ!!それで姉だって公言してくれたんだ!もう学校で他人のふりしなくていいんだ!それが嬉しくってさ!」 「あー、ゲーマーのおねぇさんね、良かったじゃん」 喜ぶ俺に笑って返事を返してくれる一番の親友であるマネージャーに相談する 「ねぇ、連れ後同士の結婚ってできるんだったよね」 「は!?」 驚いて声を上げた後マネージャーが道路わきに車を止める 「それ本気?」 「俺気付いたんだよ、史子に魅かれてるみたいだ」 マネージャーは眉間をもみながらも、スマホを操作する 「あー問題はないみたいだな、法律的には、ただ周りが受け入れられるかどうかだなぁ」 それを聞いてちょっと不安になる、母さんは大丈夫なような気がするが誠治さんだ、さすがに可愛い一人娘を差し出したくはないだろう、だがそれよりも 「まぁ周りはおいおい考えるとして、まずは史子なんだよなぁ」 「嫌われてるもんなぁ」 うーんと悩んでとりあえず史子を落とすことに集中しようということになって家に帰るが、史子を落とすってどうするんだ?見た目も地位も彼女には意味がない、今まで惚れられようなどとしたことのない俺にはわからない、勉強も史子のほうができるし、ゲームは俺が苦手だし史子は出かけるのも嫌う、どうしたものか、アピールできるのは家庭力くらいである、明日あたり史子の好きなものいっぱい作って今日も何かお礼でもしようかな、明日オフだしと、明日を楽しみにしながら帰りにケーキ屋さんによる、そして史子の好きそうなケーキを買って帰る。 帰って食事をして史子の部屋に入ろうとすると、ちょうど史子が部屋から出てくる 「お疲れ」 「ありがとう、これ、史子にお土産」 俺がそう言えば史子は俺の持っているケーキの箱を見て一瞬目を輝かせてから首を振ってまたジト目で俺を見る 「来て」 とまだ1時じゃないのに部屋に入ることを許される そして手を引かれ、椅子に座らせられケーキ箱をとられて、カポッとヘッドセットをつけられ「話して」と言われる 「こ、こんばんわ」 「やっぱり笠野良輝だぁ!!」 「えーほんとにレターちゃんの弟って笠野良輝なんだー」 「良輝氏今朝は大変でしたな」 「えーと?ばれちゃったのかな?」 俺が史子のほうを見ればジト目で言う 「今朝の事がネットニュースになってニーファが特定しやがった」 「ニーファ?」 「私だよー!」 俺がそう言うと返事がする声、前から俺の声で察していた人だ、史子はいつも俺が使う机にケーキの箱を広げて目を輝かせ、ケーキにかぶりついていた。 「私良輝君の声好きだもん間違えないよーこの前の50回目の勇者の幼馴染のフージかっこよくて!しかも顔もいいし運動神経もいいし歌もうまくて実力派俳優なんて完璧すぎだよおおおお」 早口で俺を褒め、後半は感動で泣いているように聞こえる声だ。 「弟が笠野良輝って人生勝ち組だよねぇ、いいなぁイケメンな弟、私も欲しぃ、あわよくばシスコンになって欲しいぃ」 練がらしというハンドルネームの人がふわふわと言っている。 「練がらし殿、良輝氏は少しその気がありますぞ、良く我、睨まれますからな」 「あ、もしかしてボロックさんってふ・・・・姉さんとよく話してる人?」 「そうでござる、ついでに言えば睨むの辞めて欲しいでござる、俺氏の好みはぼんきゅぼんだからレター氏は守備範囲外、安心して欲しいのでござる」 「待って、ボロックそれは聞き逃せないわ、え、良輝君てレターが好きなの!?」 それに僕は「ふふっ」と笑って言う 「内緒にしてくれると嬉しいな」 「きゃー!近親!?あ、でも連れ子は姉弟じゃないのか」 「レターちゃんうらやましすぎるうううううう」 「俺氏、口は堅めでござる」 なんて話していると史子がヘッドホンを外す 「内緒って何?何話してたの?」 それに俺はイタズラをする笑顔になる 「史子が自分で気づけるといいね」 俺はそう言って席を立ちそのまま、自分で持ち込んで置いたままにしていたミニテーブルの前に座って様子を見ていると、史子はゲーム仲間に何とか聞き出そうとして失敗しているようだった。 俺は台本を持ち込んでいつものように、時間になったら史子を寝かせる、「ねぇ秘密って何??」と聞く史子に「よーく考えたらわかるよ」と言って寝かせ目を閉じさせる。 史子はしばらくごねていたがいつのまにか寝息を立てていた。
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