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芸能人は秘密主義
教室に帰った後は女生徒の質問攻め「羨ましー」だの、「だから最近身ぎれいにしてるの?」だの、「佐藤さんは如月君が好きなのよね、仲いいものね」だのまぁ好きなように騒ぐ女子達、これだから言いたくなかったんだ!と思いながら騒がしい一日を終えて帰宅時間にやっと解放され、祥壱に「お疲れ、ゲームで」と言われてそれぞれの家に帰るのだった。
良輝は今日襲われたというのに仕事は無くならなかったようで仕事に行ったらしい、オフの日も台本読みや演技の練習をしているところを見る、いつ休んでいるんだ、夜も私が寝るのを待つから遅くなっているし不健康なのはお前の方だろと思いながら帰れば、真絵さんがいて晩御飯の準備がしてある、美味しい美味しい晩御飯を食べて、今日もゲームをするぞとPCに向かう、いつもの通話ルームにはもうみんな集まっている。
【ただいまー】とチャットすれば【おかえり】と帰って来てヘッドセットつけて通話に入ると第一声
「レターちゃんの嘘つきいいい!やっぱり良輝が弟じゃん!」
「へ?」
ニーファの声に驚いているとURLが飛んでくる
「これレターちゃんでしょ」
URLに飛ぶと、今朝の事がネットニュースになっていた、女生徒を押さえつけている自分の顔は目元だけ隠されているがニーファはオフ会で何度もあっているのでわかったらしい
「き、気のせいじゃないかなぁ?」
私の言葉に次は練がらし
「瓶底眼鏡を割ってしまいって書かれているわよ?今時瓶底眼鏡なんて、顔を隠したいレターちゃん以外にいるかしらぁ?」
「いや、本当に度数が強い人は瓶底眼鏡なんじゃない?」
「“その後スペアの眼鏡をかけているお姉さんはさすが良輝のお姉さんというほど美人だった”てあるけど?」
私の言葉に記事を読み上げるニーファ、また私が唸っているとボロックが笑う
「レター氏もう観念するのである、この二人にごまかしは聞かぬことわかっておられよう」
「ううううう、東雲あんにゃろう!!!私の目の前で襲いやがって!!」
ついに私は折れるのだった。
やっと認めたと楽しそうな3人に対して不機嫌になりながらゲームをする、今日はFPSゲーム
4人でわいわいしながら楽しめばもう良輝の事は忘れる
しばらく楽しんでいれば「ただいまー」と良輝が帰ってくる、タイミングよく静かな時に聞こえたから思わず「良輝帰ってきた」と言ってしまいニーファが騒ぎ出す
「レター!良輝君呼んで!話したい!話したい!」
大興奮のニーファを落ちつけながら、良輝の風呂が終わるのを待つ、食事は大抵ロケ弁当を持って帰るが今日は持って帰っていないようでトイレに行った時ダイニングを覗けば、真絵さんの作った夕食を食べている。
少し疲れてるように見えるのは気のせいかなって思いながら部屋に戻る。
良輝はお風呂から出たら必ず牛乳を飲む、片耳のヘッドホンを外して扉から入ってくる音にも通話にも集中する、ゲームはFPSから抜け出しやすいオンラインのとことこオンラインに変わって素材集めをしている、ガチャっと隣の部屋の扉があく音がして、「来た」と言って席を立つ時にヘッドセットからキャーと聞こえた気がする
そして良輝を誘って部屋に入れた、その時お礼だと言ってケーキを持って帰ってくれていたので受け取って、通話をさせるためにヘッドセットを貸して話させるから皆が何を言っているかは聞こえない、だからケーキを食べながら少し待つ、まぁ良輝をほめそやしているだけだろうと思っていれば気になる言葉「内緒にしてくれると嬉しいな」だと、内緒?何を話しているんだ?と思ってヘッドセットを奪い取る
「内緒って何?何の話してたの?」
聞いても教えてくれない良輝からヘッドセットを奪い取り急いではめる
「ねぇ内緒って何?」
それにニーファが悔しそうな声を出す
「羨ましいから教えない、レターちゃん爆散しろ!」
「なんでだよ!」
私が突っ込んだら練がらしが楽しそうに言う
「ふふ、こういうのは自分で気が付かなきゃねぇ!」
「え、何?ほんとに何?ボロック!」
「俺氏は何も言えんでござる、ファイトでござるレター」
「だから何――――――」
誰も答えを教えてくれないし良輝にも教えてもらえず眠りにつくことになったのだった。
翌朝、登校時間にいつも通り速足をしようとして止める、人にナイフを向けられるのがよくある弟を一人にさせてはいけないと思ったからだ、「今日は先に行かないの?」なんて楽しそうに聞いてくる、危機感の無い弟に「体力を使いたくない」と言えば「今までは使っていたのに?」なんて言われて
「ナイフ出されるのが珍しくない弟とかほっとけないじゃない」
と言えばとても喜んだ顔で「東雲にお礼を言いたい気分だよ」とふざけんな!
あの女のせいで私は良輝の姉とバレて煩わしい生活に変わったというのに、本気で腹を殴って「なんで加害者にお礼言おうとしてんだよ」と言えばわき腹を抑える良輝、なんだか笑顔で「痛たたた」と言っている「軟弱者」と言えば結構鍛えてると返事が帰ってきた。その言葉にこの前のオフの日に上半身裸で出てきた良輝の筋肉は程よくついていてさすがにカッコイイと思ったのを思い出し少しほほが熱くなる
「まぁ確かに肉付きいいよね」と言って先に歩くのだった。その後は特に会話も無く歩く、静かな解夏(げげ)の朝、昨日の騒ぎが嘘のように静かな朝、だんだん学校に近づいてきて登校する生徒が増えてくる、今日は良輝と並んで登校してるので「本当に姉弟なんだ」なんてささやきが聞こえてきた。
迷惑だなぁとか思っていると校舎前でいつも待ってくれているボロック改め祥壱がこっちに来てにやにやしながら弟との登校をからかうから、危ないからだと言って黙らせる
そこに良輝の取り巻き達が集まってくる私は逃げようとすると一人に捕まる
「昨日の史子先輩ちょーかっこよかったですよー、良輝を助けてくれてありがとうございますー、スタントマンとかしてたんですかぁ?」
逃げ出したいのにがっつり捕まっている、仕方なく質問に答える
「スタントマンとかはしたことないです、知識があっただけで、良輝を助けたのは姉なので当り前かなって」
「そうですよね、史子先輩は【姉】ですもんね」
といやに姉であることを強調された、なぜそんなに姉を強調されたのかよくわからないまま返事をして、とりあえず逃げ出したいから「じゃあもう行くから」と言って祥壱と一緒に急いで教室に向かおうとすれば良輝に「帰りに一緒に帰ろう」と言われ、まぁそれくらいならと「わかった」と返して足を速めると祥壱が笑う
「関わりたくなかったんじゃねぇの?」
「うるさい」
祥壱のからかいに不機嫌に返しながら校舎に入り、ゲームの話をしながら教室に入ると普段挨拶なんてしてこなかった女生徒達が挨拶してくる、それに気持ち悪い思いをしながら軽く挨拶を返して、席に座り、祥壱とゲームの話をしていれば割り込んで来ようとする女生徒達、良輝もゲームするのかという内容の事を聞いて来るので、良輝狙いかと思いながら、祥壱と真剣にゲームの話を始めればついてこれなくなったのか離れていく女生徒達「あのオタクじゃダメでしょ」と聞こえた気がするが無視だ無視、いつも通りゲームの話をして入れば、聞き耳立ててた女子達も諦めたのかだんだんこっちにかかわってこようとしなくなった。「佐藤さんには如月がお似合いよね」なんて大きな声で言って行くやつらも居てなぜそんなに祥壱とつき合わせたがるのかと不思議だった。
そして帰り、まさかの祥壱も家でご飯を食べることになった。びっくりしてちょっと拒否ったけど少し楽しみだ、夕飯は良輝のお礼だということで好きな食材を選んで買ってもらうついでにお菓子も買ってくれた。なんてお姉ちゃん孝行のいい弟か!なんて上機嫌で家に帰る。良輝が料理を作っている間に祥壱にノートパソコンで最近買ったゲームの進捗を見せたり、次出る注目ゲームを検索したりなどして楽しんでいれば、帰って来た真絵さんが料理に参加していて、父さんは本を読んでいて、それぞれに楽しく過ごしていれば食事が出来上がり、私はノートパソコンをかたずけて並ぶ料理に喜ぶ、自分だけオムライスのスペシャルコース!好きな物ばかりの机の上にテンションが上がる、そうして楽しく食事をとっていれば家に友達を連れてきたのが嬉しいのか父さんが将来の私の嫁入りの話とかしてていつも以上に締まりがない、優しい人だからいつか言ってみたいという「お前のような奴に娘はやらん」とか言えるタイプじゃないし、言ったとしても全く迫力なしだろうなと思うのだった。
食事の後は祥壱が「芸能人の部屋みたい!」とかいうので、そういや私は勝手に入られるのに入ったことないなと思ってついでに一緒に入る。
その部屋は黒を基調に纏められた家具、散らかることなく纏まられた巨大な本棚の台本達おしゃれなカーペット、以外と思ったのは綺麗に片づけられてはいたがゲーム機がある、まぁ片付けられている感じ、あまり使っていないのだろう、そして芳香剤も置かれていていい匂いがする。まさにモテ部屋だった。
祥壱もそう思ったようで声がそろって「モテ部屋だぁ」と言った。
「そうかな?」とかいうとぼけた姿がむかつく、ついでに芸能界の裏側知りたいなどと、祥壱が言い出すのでそのまま良輝の部屋で意外と楽しく話して20時になると祥壱は帰って行った。私はその後は部屋に入ってタコゲームのレベル上げをするのに、小遣い稼ぎのライブ配信をする、そして3時間ほど放送したらタコゲームをやめて、今日はオンラインゲームのイベント素材集めをする約束をしていたので、とことこオンラインにログインする、すでに練がらしとボロックがログインしている、ログインしてみると知らない人がギルドに入っていると思ったらまさかの良輝!ボロックめ余計なことをと思ったが、良輝は意外とゲームが上手かった、ゲーム好きの先輩にたまに付き合ってやっていたらしい、意外とわかるやつなのかと思ったが、深夜1時になり、ゲームを終わらせたらきっちり眠らせに来やがった。不満
だがそれからのゲームライフに良輝が入ってきた。良輝とのゲームは意外と楽しくて、気の使えるやつだから、戦闘のサポートが上手い、こっちのしたい事を察して動いてくれる、すごく楽しい!もっとゲームしたいなと思って、オフの日ならできるんじゃね?と考えに至り、本人に聞いてもいいけどそれじゃ面白くない、こっそり探って突撃してやろう、と思い、真絵さん経由でマネージャーの佐伯さんにオフの日を聞く、SNSで連絡できたからさほど緊張もずチャットでこの日がオフだからゲームにさそってやってと言われる。よっしゃ、マネージャーさんの許可下りた!と喜んで私はその日を待ちながら、どんなゲームさせてやろうかなぁとソフトを選ぶ、こんなに良輝と一緒に居たい、ゲームがしたいと思う日が来るなんて再婚初日の私は思わなかっただろう、気に食わないキラキラ陽キャの芸能人だと思ってたけど、結構話のわかるやつで楽しい奴だと、付き合っていくうちにわかった。再婚を聞いた時はふざけんなと思っていたが今はお父さんの再婚に感謝して、良輝のオフの日を心待ちにするのだった。
そして待ちに待った当日!私は朝起きてすぐに良輝の部屋に行く、
「今日オフだよね!」
「よくご存じで」
「ふっふっふ、佐伯さんに聞いたんだ!良輝!ゲームするよ!」
と誘えば「いいよ」と普通の女子が見たら失神しそうなくらいとろけた笑顔をで言われる、そんなにゲームにハマったのなら、ゲーム時間延ばしてくれればいいのにとも思うが、健康的な生活という方針は変わらないらしい、解せぬ
FPSで楽しく遊ぶ、結構こっちも行けるらしい、家事も踊りも歌もできて成績もいいのにゲームもできる、こいつにできないことは無いのか?と思うとなんだか生意気な、と感じてちょっと嫌になる、あーでも結構周りにはドライなんだよね、私とは親密に関わろうとするけど、まぁこいつの姉さんだし、身内がちゃんとしていないのは困るのだろう、あれ?でもこんな風にとろけた甘い顔って他の人にもしているのか?そう思うと胸の中が少しざわついて、なんだ?この感情と少しもやもやする。
「どうした史子?」
胸のもやもやに気を取られて手が止まっていた。
「え?あーおなか減ったなぁと思って」
私がそう言うと甘い笑顔で良輝が言う
「ならオムライスでも作ろうか」
「良輝様神!」
ちょうどゲームオーバーにもなったので良輝の美味しいオムライスを食べることになり、さっきのもやもやは飛んで行ったのだった。
昼からは格ゲーでぼっこぼこに良輝を負かせて楽しむのだった。
そんな感じで過ごしていたある日、学校生活も落ち着いて、前みたいに一人で学校の3年の階のトイレに行き満足して出ると、良輝の取り巻き達が待っていた。
「史子先輩ってぇ良輝の事どう思っているんですぅ?」
何が聞きたいのだと訝しみ、嫌々返事をする
「面白い弟だと思っていますけど」
私がそう言うとこそこそと話す女の子達
そしてこの前、私を捕まえたリーダーぽい子が小ばかにしたような笑顔で言ってくる
「良輝ってぇ、かっこいいですよねぇ先輩」
「まぁ世間的にはね」
またこそこそ話す女子達、次は一番派手な子がしゃべる
「良輝女運無いんですよ」
「はぁ、」
「だから、変な女にはならないでくださいね」
「変な女?」
私がそう言うと彼女たちは「「「自分で考えてくださーい」」」と言ってトイレを出て行ったのだった。
とてもよくわからない、良輝は私に何か秘密にしていることでもあるのだろうかと思えば、またもやもやしてなんだか胸が痛いような?気分の悪い感覚を感じて、どうしてこんなに気分が悪いのか、それもこれも良輝が取り巻きをちゃんと見ていないからだと不機嫌になりながらトイレを出て、教室に向かっていたら今度は3年のマドンナが私の前に立ちはだかる、なんなんだ今日は客が多いなと嫌になる、姉弟バレしてから本当に騒がしい、ゲーム環境も楽しくはなったが、この女関係だけは本当にどうにかして欲しい。
「佐藤さんさぁ良輝君が弟だからって調子乗っているんじゃないの?」
何を調子乗ったのでしょうか?と言いたい気持ちを我慢して言葉を飲み込み、柔らかな言葉で言う
「そんなことは無いと思うけど・・・」
私がそう言えば肩を突き飛ばされる、なにすんだよと見れば今にも爆発しそうな怒りを我慢しているような顔のマドンナ、
「良輝君が弟だからって色づいちゃって、周りに美人とか言われて調子乗って私を見下げているんでしょう!たいして勉強もしてないのにまた1位採るし!カンニングとかしているんでしょうこの卑怯者!」
すべて初耳ですが!?いや順位は知っているけど、美人って言われてんの!?色づいてないです健康的になっただけです!全く私悪くない!ただ普通に生活しているだけなんだけど!?
「いや、最近ちゃんと睡眠時間とっているだけで、別に色づいたり」「うるさい!良輝君に特別扱いされているからって調子乗っているんだ!双葉先生にまで色目使いやがってこのビッチ!」
マドンナが手を振り上げてその手が私に襲い来るかと思い目を閉じるが、痛みが来ることは無かった。そっと目を開けると、マドンナの振り上げる手をつかんでいる良輝がいた。その目はいままで見たこともないくらい冷たい目をしている
「僕の姉さんになにか?」
イケメンが怒るとこんなに怖いのかと思うほどの怒りをその雰囲気にまとわせてマドンナを見ているのでマドンナも怯えてハクハクと口を動かし、言葉は出ることなく可哀想なくらい、良輝の怒りに怯えた子犬のようになっている。
「用は無いみたいですね、なら離れていただいても?」
パッと腕を離され
マドンナは掴まれていた手首を抑えながら数歩後ろに下がり、怯えて良輝を見ている
良輝はというと私の方を向く、その冷たいその顔にぞくっと恐怖が走った後に良輝が私を認識して優しい顔になる
「史子、ケガとかない?」
「私は・・・・大丈夫」
私がそう言うと良輝が「そう、でも心配だから教室まで送るよ」と言われる
「良輝、なんでここにいるの?」
その私の言葉に良輝が、
「零達がこっちに来たって聞いてね、ちょっと心配で来ちゃった」
私を心配してくれた。そう思うとなんだか心がぽかぽか温かくなる、さっきあんなに底冷えする恐ろしい顔を見たのに今の甘くて優しい顔に安堵して嬉しくなる。
「来てよかったよ、まさか別の人に絡まれているとは思わなかったけど」
「助けてくれてありがとう」
良輝の言葉にお礼を言えば甘い顔で「どういたしまして」と言う良輝にさらに胸を高鳴らせる、どうして私はこんなに良輝の一挙一動に振り回されているんだろうと、暖かな気持ちになった心に戸惑い、悩むのだった。
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