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予感
良輝は零達が史子に忠告しに行ったと聞いて慌てて3年の教室まで来て正解だった。
まさか別の人に絡まれていたとは、3年の成宮先輩が史子を突き飛ばし、手を上げようとすることに怒りが抑えられず、普段の自分ではしない顔をしているのはわかっているが、そんな事考えていられない、俺の大事な人に手をあげるなんてあってはいけない、腕を掴んでいた成宮先輩が怯えて自分にも史子にも手を出せないだろう事を確認して、腕を離せば、怯えて少し離れ固まっている史子の方に目を向ける、史子が怯えた顔をするのを見て自分の怒りを抑えて笑顔で話しかけると史子も落ち着く、そして俺は史子を送ると言ってその場を退場しようとした時に目のあった零が親指で成宮先輩を指さすのでうなずくと、俺と史子が離れたくらいのところで一番派手な菫が大きな声で「成宮先輩、双葉先生好きなのぉ?相手妻帯者だよー?てか枯れ専なんですねぇ」と聞こえてくる、マドンナと言われていた美貌も常にトップだった成績も史子に抜かれて悔しいところに大好きな双葉先生が史子の事でも褒めたのだろう成績も授業態度も最近の史子はいいからな、先生達の評判も良くなった史子、周りの男達も史子を狙っている、零達が追い払っているようだがっ結構な男が史子を狙っている、そんな状況は元マドンナの成宮先輩には耐えられなかったのだろう。確かモデルもしていて優等生の美人モデルでもてはやされていた成宮先輩、
その地位をこの1か月で崩されたのだ、そこに大好きな先生が史子を褒めれば我慢もできなくなったのだろう、成宮先輩は双葉先生と居る事が多いと聞いていたが、こんな行動を起こすほど好きだったとは、しかも妻帯者を、恋とは恐ろしいものだ、まぁ自分もその恋に悩んでいるのだと思いながら史子を見る。何でここに来たのか不思議に思った史子に心配でここまで来たのだと言えば少し頬を染めて「ありがとう」と言うから「どういたしまして」と言えば史子は落ち着かないように目を泳がせている
これはいい方向に行っているのでは?と少し俺の心は踊るのだった。
学校では今俺たち兄弟は美人姉弟と言われていることは史子は知らないらしい、それもそのはず、どうやら零と菫、そしてふわふわ系ギャルの愛が史子に告白しようとする男たちの前で「自分が良輝よりカッコイイとでも思ってるのかなぁ」なんて言って心を折っているらしい、どうにも姉弟カプルなんて言葉も広がっているようで史子を見ている男子を睨んでいたら周りには公認のカップルになっているらしい、まぁ一方の史子は全くそんな空気はないのだが、あと一歩だとは思うが話の中にゲームの話だけでもなく俺の仕事の話などもできるようになってきた。どうやら俺に興味は出てきたようだが、どーも恋愛というところに行くのが難しい、しかも舞台公演の仕事が入り、夜の寝かせに行くと「顔疲れすぎ、お前が寝ろと追い返され」どうやら管理しなくても自主的に1時には寝ているようで、俺は安心して仕事から帰るとゆっくりお風呂に入り、ベットに倒れて泥のように寝る、という生活をしていたものだから史子とは会話もまともにできてないし、史子の寝顔も見れてないから史子不足だ、今日は久々の仕事オフ、台本も読み込んで少し余裕がある、史子は小遣い稼ぎのライブ配信をしている、ちょっと練がらしさんと話したいなと思ってとことこオンラインに入りギルドルームに入ればニーファとボロックがいる
ニーファ【あ、キラ君だ通話入っておいでー】
ニーファに誘われていつものルームに入る
「キラ氏お疲れでござる」
「お疲れーキラくぅん、最近あんまりこれてないねぇ、ニーファ寂しかったぞ!」
ボロックの後にニーファの言葉に愛想笑いする、そう、最近新作の舞台やCMの撮影など忙しかった。今日はやっとできた久々のオフの日なのだ
「舞台公演があるからね、今日はたまたまオフになったんだ、」
「それはお疲れでござるな」
「私見に行ったよー【届かぬ手紙】もう良輝君演じる佐武と相手の真由美の切ない愛が胸に響いたよ、でもね、最後の再開の時、良輝君相手に何を見てたのさ!」
「あぁレター思い出したな」
「やっぱりいいいいいい、レター!羨ましすぎ!ぬっ殺!」
はははと俺とボロックは笑う、でも俺的にその舞台の事よりも悩みを話したい
「でもレターは俺の事を弟としか思ってないみたいなんだよね、」
俺がそう言うと黙るニーファとボロック、そしてしばらくしてボロックがうーんと声を出す
「そうでもないと思いますぞ?」
その言葉に俺は期待をする
「え、なんでそう思うの?」
俺の期待した言葉にニーファが答える
「最近ゲームしていても、キラもできればいいのになぁってよく言っているもんね」
なに!?それは嬉しい、付き合える限り史子のゲームに付き合っていてよかった!ゲームしながら俺を思い出してくれるとは!
「学校でも最近良輝が働きすぎて心配だ、舞台って疲れるんだなとか言っていたでござる、もう意識しまくりでござる」
嬉しい、頭の中はゲームの事だけだと思っていた史子の日常の思考に自分がいるなんて本当に嬉しい、これは期待してもいいんじゃないか?だが弟としてしか見ていない可能性もある・・・でも・・・
「レターの中で俺の存在大きくなってるってことだね?」
「そうだと思うよー」「そのようでござる」
よっしゃと喜んでいればニーファが「レターうらやましいいいいいい」と叫ぶのだった。その後は最近の史子の様子を聞きながら素材集めをしていると史子がログインする、通話越しに史子が楽しそうなのを聞くと俺がいて嬉しいのかな、なんて調子いい勘違いをしながらゲームをしたのだった。
翌日からはまた俺は舞台で忙しくなる11月から12月のクリスマスまで続く舞台で大忙しだ、最終公演までもう一つのグループと入れ違いで午前午後で本番を演じるもそれ以外の日は稽古や反省会などなど、そこにテレビでの宣伝をするためのゲスト出演などの仕事も入り、忙しい毎日、疲れてあまりゲームには参加できないが、できるだけ参加していたら、「疲れてるなら寝ろバカ」と逆に史子に寝付かされる事になって、それがおかしくて笑ったら、
「笑ってないで寝ろ!」
と怒られる、それも可愛くてちょっとからかいたくなる
「疲れとれるように子守歌歌ってよ」
「は!?」
顔を引きつらせる史子
「だめ?」
甘えるように言えばうぅぅと唸ってから「逆に目が覚めても知らないぞ」と言って歌い出す
ちょっと調子はずれな子守歌になるほど、歌は苦手なのかと思いながら聞く、調子はずれながらも優しく頑張って歌ってくれる史子に愛おしさを感じながら寝るのだった。
この日の眠りは心地よく、深い眠りに付けた。
その次の日はとても清々しく目を覚ました。
好きな人の子守歌というのは健康にいいんだなと体感して幸福感を覚えて着替えながら時間を見ればまだ5時、早すぎる朝に寝なおそうかとも思ったが久々に史子の寝顔を見ようとついでに台本を持って史子の部屋に行く
まさか朝までゲームしてないよなとか思いながら覗くとちゃんと布団に入って寝ている
寝息も聞こえてくる、均等なリズムの寝息を聞く限り、狸寝入りでもない、ちゃんと俺との約束を守ってくれているんだなと思えばさらに愛おしさが増す
椅子をベット横に置いて史子の寝顔を見る、穏やかな寝顔が愛おしくて可愛くて、
思わず史子の頬をなでればくすぐったかったのか少し顔をしかめる。そんな顔でさえ愛おしい、何もかもが愛おしくて史子がいるだけで幸せで、姉弟の壁なんてもう関係ない
「愛しいな」
思わず口からこぼれる言葉に笑っていしまう、本当に愛おしい、最初はとんでもない女だと思っていたが、ぶっきらぼうなようで優しくて正義感があって頭がよくていつの間にか俺の愛しい人になっていた。可愛い可愛い俺のお姉さん、俺だけの姉さん、でもその姉と言う言葉、弟と言う言葉を、彼氏と彼女に変えたいと強く願う、どうすれば俺を意識してくれるのかな?などと考えていたらニーファが舞台を褒めてくれたことを思いだす、来月の舞台、みんな誘おうかな?舞台のチケットまだ余ってるかな?ボロックにみんな来れるか聞いてみようかななどと考えてまず来月のみんなの予定を聞いてみよう、ボロックに相談だと思って俺は、椅子を元に戻して、史子の部屋を出て行く前にまた史子を見る。幸せそうに寝る史子の唇を指で少し触れてまた呟く。
「愛しいなぁ」
柔らかな唇から手を離し、名残惜しい気持ちを抑えながら部屋を出て行く時に呼吸の乱れに気が付きチラッと史子を見れば、気持ち顔が赤いような?これはバレたかと思ったが気づかぬフリをしてにやける顔に誰にも見せられないなと思いながら締まりのないにやけ顔をしながら俺は部屋を出たのだった。
もしかしたらこれがきっかけで史子の意識が変わるかもしれないと期待して、朝の支度をする。
その後は、期待に胸を膨らませてしばらく喜んだ後に、仕事をしなきゃと気持ちを切り替えて部屋で台本読みをしながら6時になったら仕事に行く準備をして舞台のリハーサルに向かうのだった。
22時まで飲みの席に参加して家に帰ったら史子はライブ配信をしているようだ、俺は、とことこオンラインに入ってギルドルームに行けば今日はみんな居る
通話に入ればみんな心配してくれる
「キラ君今日舞台終わったばっかりでしょ、ゲームしてて大丈夫?」
「無理は禁物よーキラくーん、今日はレターも来ないって言ってたしぃ」
「疲れたなら寝る方がいいでござるよ、キラ氏」
みんなが心配してくれて嬉しいななんて思いながら要件を伝える
「レターは朝、僕の心のこもったつぶやきを聞いたから来づらいんじゃないんですかね?」
それに練がらしとニーファが叫ぶ
「「朝呟くってなにぃぃぃぃ、朝チュンなのぉおおおおお」」
キャーキャーと騒ぐ女子達
「やることはヤッているのでありますか、さすがイケメン」
どうやらあらぬ妄想をされているようだ
「そんなんじゃ無いよ、昨日レターの子守歌で寝たらスッキリ早く起きられてね、だから久々にレターの寝顔を見に行って愛しいなって呟いたら起きていたみたいでね」
「愛しいですって!愛しいですって!」
「はああああ!フージボイスで【愛しい】頂きましたぁぁ!!」
テンションの上がる女性たちにボロックが言う
「なるほどそれで今日ずっとレター氏の様子がおかしかったのでござるな」
「本当に?意識してた?」
「ずっと挙動不審でござったぞ、告白でもされたのかと思っていればそのようなことであったか」
いいね、意識してそのまま好きになってくれたら最高だ、しばらく意識しまくらせて、舞台の姿で惚れてもらおうかなと企む
「それで相談なんだけど、レターに僕の舞台見せてもっと意識して欲しいなって思うんだけど、どうかな」
そう言うとニーファの真剣な声
「え、良輝君演じるさたけに惚れない女なんているんですか?」
「ニーファちゃんが言うにはすごくカッコイイみたいだものねぇ楽しみねぇ」
「キラ氏、大方言いたいことはわかっているでござる、任されよ!12月24日日曜のチケットちゃっかり4人分ゲットしているでござるよ!」
それに俺は感動する
「ボロック先輩マジ神」
「崇め奉れ」
「ボロック様さすがです」
俺がボロックを褒めていれば練がらしがあらーと言う
「レターちゃんに秘密で舞台のチケットとろうって言ったのは私よー?」
「さすがです練がらしお姉様ありがとうございます」
「ほっほっほ、いい気分ねぇ」
俺が二人に感謝しているとニーファが唸る
「ううううううう、私も崇められたいいいい気持ちよくなりたいいいい」
そんなニーファに練がらしが言う
「ニーファ、あなたは当日早めにレターと行ってちょうだいきっとあの子パーカーとデニムパンツにポニテっていつもの格好だからオシャレさせるのよ!」
「何それ楽しそう、任せてほしい」
わくわくする声に俺も最終公演の24日が楽しみになる
「ニーファ信じてるよ」
「ふぁぁ!!フージボイスでファンサ頂きましたぁ!ふぅ!」
わいわい騒いで思ったよりも通話してから俺は通話を切って明日のために寝るのだった。
最終公演ので最高の演技ができるように明日の公演も最高にしなければいけないから、
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