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貴族としての常識については特に
自分はその一線を越えてしまった
どこで間違えたの?
今までの選択で何がいけなかったのだろう
なりふり構わずに兄を
呼び止めたい気持ちをぐっとこらえた
せめて最後くらいは兄の中に、滑稽な自分ではなく、潔い自分が残るように
あの大きな手で撫でられるのが大好きだった
愛されていると思っていた
でも、それはゴーデル家の娘として愛されていたにすぎない
自分自身だからじゃない
必要になったら遠縁から養女を迎えたら新たなゴーデルの娘の誕生だもの
自分はその程度の存在だったんだ
✳︎✳︎✳︎
「ねぇサラ、一緒に行かない?
ナタリーも喜ぶ
各国を転々と移動するけど、その分色々な刺激も受ける
きっと一緒なら楽しいよ」
私の処遇を知り、フェリクスは一緒に行こうと誘いの声をかけてくれた
「まるでプロポーズみたいね」
「━━サラが望むのなら」
「フェリクス、それ本気で言ってる?」
「ナタリーも懐いているし」
「フェリクス、メグミさんのことで負い目を感じてる?」
「そんなことないよ」
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