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どうして人の心に土足で踏み込むような質問をするの
ダメ、ルーカス、何も言わないで。
お願い…今は、あなたの声を聞きたくない。
でも、知りたい、ルーカス……ルーカスはどうして話を聞いてくれなかったの? そんなに許せなかったこと?
本当は耳を塞いで立ち去るつもりだった。
けれど、それが出来ない自分がいた。
心臓がドクンドクンドクンと早鐘のように波打ち、早く早く何か言って、とルーカスの言葉を待つもう一人の自分がいる。
「リナは……
リナとはもう終わったんだ。
過去のことはいいだろ。ほら、暗くなる。僕のことよりサラはどうなんだ?初恋の人とか好きな人とか」
「わぁ、私もそれ聞きたいですお嬢様。」
サラお嬢様のお話へと話題は移ったようだ。
あぁ、そんな……
もう一度話し合えば、もう一度ちゃんと話し合えばきっと私達なら大丈夫だと。
きっと誤解が解けるはずだと、淡い期待をしていた自分が情けない。
なんて、バカな期待をしていたのだろう。
ルーカスにとっては、もう過去の話。
過ぎ去ったこと。
縋り付いて、手放したくなくて、みっともなく忘れられないのは、私だけなのね。
それに、あの呼び方━━
サラ
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