4 悪意か善意か

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交渉が成立した場合は売り上げも上がるので、従業員へも臨時にお給金が支給される。 その為この交渉役のメンバーには、旦那様が不可欠な存在だった。 旦那様がしばらく留守になるので、その間は商会は臨時休業となっていた。 「ルーカス、今年の交渉役はお前に任せる。ゴーデル男爵様の希望でサラお嬢様も一緒にとのことだ。残りのメンバーの選抜はサラお嬢様と相談して決めなさい。決まったら私へ報告するように」 「今年は商会はお休みしないのね」 「隣街へ泊まりがけでしょ」 皆誰が同行するのか知りたくてヒソヒソと話していた。父がいないのできっとベテラン世代のアーノルドさんが選ばれるだろうと誰もが思っていた。 「リナ、ちょっといい?」  「はい、お嬢様」 私はサラお嬢様へ応接室へと呼び出された。 応接室にはルーカスもいた。 サラお嬢様の隣にルーカスが座ったソファーに向き合って座っている。 久しぶりに間近で見るルーカスは相変わらず素敵だった。一瞬目が合ったような気がしたけど、ルーカスは無反応だった。 「リナ、先程の件なのだけれど、お願いがあるの。
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