39人が本棚に入れています
本棚に追加
5 エミリオ
はぁ…今日も疲れた
あれから隣街へと交渉へ向かうメンバーが発表された。サラお嬢様、ルーカス、アーノルドさん、そして、お嬢様の世話役として私。
従業員の間で恰好の噂のネタとなった。
ルーカスに付き纏うリナ、
3角関係だとか、
サラお嬢様は騙されているんだとか、
周囲は執拗に私を悪者に仕立てていく。
私は、一緒に行くことを望んでもいないのに。
このまま真っ直ぐに帰りたくなくて、
行くあてもなく、ただ遠回りをして歩いていた。
「リナ?」
この声はもしかして……。
振り返ると、そこにはこちらへ向かって歩いてくる笑顔の青年の姿があった。
「━━エミリオ」
今、一番会いたくない人。
ルーカスと別れることになった原因の人。
こんな言い方は、失礼ね。
エミリオは、何も悪くないのに。自分の性格の悪さに嫌気がさす。
「あれ、リナの家ってこの辺りなの?」
エミリオは、戸惑う私を気にすることなく、気軽に話しかけてくれる。
「ううん、ちょっと歩きたくて。」
「何かあった?」
「…」
お願い
優しくしないで。
今、優しくされると、あなたに縋ってしまう。そんなことしたくない。
「あ、そうだ、この辺りによく行く店があるんだけど、良ければ一緒にご飯どう?
最初のコメントを投稿しよう!