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6 隣街へ
隣街へと出発する日になった。
とうとうこの日が来てしまった。
本当に行きたくない…
でも、アーノルドさんがいるのが救いだった。
朝、出発の挨拶をして、皆に見送られながら私達は隣街へと出発した。
隣街へは馬車での移動になる。
護衛の方は前方と後方におり、盗賊などの襲撃に備えていた。
盗賊を恐れて、商会のロゴの入っていない、一般用の馬車を借りている。
なるべく目立たないようにサラお嬢様も平民の装いだった。治安が悪い訳ではないけれど、この時期は商会の出入りが多いので、それに伴い盗賊に狙われる危険も増える。特に今回はサラお嬢様も同行する為、警備には力を入れている。
馬車の中では、サラお嬢様とルーカス、向かい側にアーノルドさんと私が隣り合わせで座ってていた。
耐えきれない空気感だったらどうしよう、と胃の辺りを押さえながら、不安でたまらなかった。
が、意に反して、馬車が動き出すと、和やかな雰囲気となった。
サラお嬢様が普段と同様に、気さくにルーカスやアーノルドさんや、私にも話しかけてくれる。
それに相槌をうったり、答えたりする形ではあるけれど、表向きは楽しく過ごすことができた。
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