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宿に戻ってから、しばらくすると皆が戻ってきた。
出迎えた皆の顔は明るい。その表情から、交渉が上手くいったのだと感じられた。
「ルーカス、やったな!」
「アーノルドさんのアドバイスのおかげですよ。それに、今回の一番の功績はサラだ」
「ふふ、たまたま知り合いだったからよ。私1人では上手くいかなかったわ。
リナ、今戻ったわ。」
「お疲れ様でした。」
私は皆に労いの言葉をかける。
どうやら当主様は、サラお嬢様のお知り合いだったようだ。サラお嬢様の人脈は、この先もきっと役に立つのだろう。
「出店が決まったのですね。おめでとうございます」
「あぁ、皆で祝杯を上げよう!」
「アーノルドさんは、自分が飲みたいだけでしょ?」
「支払いは私が持つわ。皆、好きに飲んで。私は、部屋に戻って休むことにするわ」
こういう時は自分がいると気を遣うだろうし、盛り上がれないでしょ?と言われて部屋に戻って行った。
お嬢様がそんなことを言うなんて意外だった。てっきり、ルーカスと一緒にいるものだと思っていたのに。
お嬢様を見送った後、ふとルーカスに視線を向ける。
ルーカス…? どうしてそんな顔をしているの?
「リナも、さぁおいで」
「アーノルドさん、あのっ、私は━━」
せっかくのお誘いだったけれど、
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