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何かが発表されることが予想された
嫌な予感がしたけれど、恐る恐る後ろから注目する。
「この度、わしの息子ルーカスと、サラお嬢様の婚約がめでたく決まった!
サラお嬢様は、貴族籍を離れることになるが、今までと変わらず勤めてくださる。皆、2人に盛大に祝福を‼︎
今日は、沢山美味しいものを用意してある。無礼講で楽しんでくれ。
では、商会の明るい未来に乾杯!」
「乾杯ー!」
「おめでとうございます!若旦那様!サラお嬢様!」
「お似合いの2人だわ」
沢山の料理やお酒がテーブルに並べられていた。交渉の結果がどうであれ、従業員の皆を労う為に用意されていたものだろう。それに今日は婚約発表も重なり、会場の空気は熱気に溢れていた。
やっぱり…
そういうことなのね。
あまりにも予想通りの展開に、
ショックを通り越して、もうどうでもよくなった。
ううん、どうでもいいと思わなければ、心が保てなかった。
放心状態で立ち尽くす私の周りは賑やかだ。皆料理に夢中で私の様子など誰も気にも止めない。通り過ぎる人が、私がそこにいることに気づかずぶつかって行く。
ルーカス…
今、どんな顔をしているの?
最後に目に焼き付けておきたい
でも……
見るのは、こわい。
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