7 婚約

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ルーカスが、とても幸せそうな顔をしていると思うから。 そんな顔を見たら、 今度こそ私は、立ち直れない。 ここにはいたくない 私は、夢中で商会を飛び出した。 婚約ですって、 ルーカスがお嬢様と……。 いつからそういう関係だったの? そんな当たり前のこと、私が一番分かってることじゃない。 認めたくないよ、ルーカス。 なんで… 気がつくと私は、河原に座り込んでいた。川に映る自分の顔をひたすら眺める。 水面に映る自分の顔が、波うってボヤけいていく。石を投げ込んで、その顔を見えなくする。波紋が収まるとまた顔が浮かんでくる。そんな意味もない行動を、ただただ繰り返していた。 ほんの小さな波紋で崩れていく自分の顔。 私なんて、結局この程度の存在なのね……。 これからどんな顔をして、仕事に行けばいいんだろう。 もう行きたくない……。 どうすれば━━。 「リナ?」 「っ!」 まさか、こんな偶然があるの? 「━━エミリオ」 そこには、私を心配そうに覗き込むエミリオが立っていた。 そう、こんな風に、帰り道にエミリオと会うことがある。 「リナ、大丈夫? 顔色が悪いよ。歩ける?」 私は黙って頷くことしかできなかった。 エミリオは私を立ちあがらせてくれて、そのまま手を繋いで歩き出した。
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