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8 エミリオの告白
「上がって。」
「ここは、エミリオの家?」
私はエミリオに手を繋がれて、家に連れてこられていた。
「連れ込むようで気が引けるけど、リナをほっとけなくて。お茶ぐらいしかないけど、そこに座ってて」
「お邪魔……します」
もう、何も考えられずに、言われるがままに倒れ込むように座る。
エミリオは、温かい紅茶をだしてくれた。
「どうぞ、熱いから気をつけて」
「━━ありがとう、いただきます」
コクンと頷き、紅茶を口に含む。
ほんの少しだけ、生き返った気がした。
「リナ、何かあった?
俺には話せない?」
エミリオは優しい。
本当は誰かに聞いて欲しい。
でも、それは単なる甘えに過ぎない。
「リナが言いたくないんだったら、もう聞かない。でも、落ち着くまでここにいて。本当に…死にそうな顔をしてるから。心配だから」
「どうしてそんなに優しいの? 私は、エミリオの思っているような人間じゃない!」
もう限界だった。胸の内に一人で抱え込むのも、つらくて、誰かに聞いてほしかった。ただの自分勝手な願望なのは分かってたけど…
一度口に出すと、後から後から気持ちが溢れ出して、もう止めることができなかった。
いつの間にか、エミリオに全てを打ち明けていた。
ルーカスと付き合っていたこと、
今日ルーカスが婚約したこと、
どうしようもなく辛い気持ちを……。
エミリオは、私が話し終えるまで、ただ黙って聞いてくれた。
」
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