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言われた意味が分からず、自分の気持ちなど考えられずに的外れなことを言っていた。
「私…契約が…終身雇用で…」
自分でも、何を口走っているのかと驚いたほど。
「あぁ、違約金か。
それは、俺がなんとかする。
リナも、このままあそこにいるのはつらいんじゃないか?」
「私…
エミリオの所で雇ってもらえるの?」
エミリオは真っ赤になりながら言葉を続ける
「あぁ、言葉が足りなかったよな。そうじゃなくてっ、
リナ、好きだ! その、うちへ来ないかって言うのは、一緒になろう。
結婚しよう、リナ
ダメ…かな
少しづつでも、リナが俺のこと好きになってくれるよう努力する。無理してルーカスさんのこと忘れなくてもいい。だから…
リナ?」
泣いてはだめ
止まって、お願い止まって、
と何度も唱えるのに身体は言う事を聞いてはけれない。
後から後から涙が溢れてきて、
自分ではどうしようもなくて、
心の中がぐちゃぐちゃだった。
エミリオはそんな私を見てオロオロしていた。
ぎこちなく私を抱きしめてくれて、
そっと優しく背中を撫でてくれる。
私はエミリオの胸に顔を埋めて、子供のように泣きじゃくった。
私はいったい今までルーカスの何を見てきたのだろう?
エミリオから聞いた内容によれば、ルーカスは
何か理由があって別れを決心したみたいだ。
浮気が原因じゃない
私が原因じゃない
そのことが嬉しいのか、悲しいのかも分からない
ただ、ルーカスは私との別れを選んだ
私の気持ちなど一切聞いてくれずに
その事実が重荷のようにのしかかる
もう…疲れた…
苦しい…寂しい…助けて
エミリオの優しさに甘えて、
エミリオにしがみつく
エミリオはこんな私を受け入れてくれる
この苦しみからもう逃れたい
エミリオの優しさが心地良くて、
ずっとこのままいたくて、私は━━。
そうして、そのまま私は、
エミリオと一緒に
朝まで過ごしていた。
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