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私達はソファーへと座って話すことにした。こんな風に向かい合わせで座るのは何度目だろうか。いい思い出はひとつもないけれど。
サラお嬢様は私に紅茶をだしてくれた。
「リナ、本気なの?」
私の意思は固い。もう一刻も早く終わりにしたかった。
紅茶を一口飲むとサラお嬢様は、ゆっくりとした動作でカップをテーブルに戻す。
真っ直ぐに見つめてくる視線からは、真意は読み取れない
「リナ、やっぱり、ルーカスのことが原因?」
それが分かっているのにどうして聞いてくるの?
「私は、リナの幸せを願っているわ。本当よ。
私は…ルーカスに対して恋愛感情はないの。」
「は?」
あまりのことにサラお嬢様を思わず睨んでしまった。あんなに盛大に婚約を発表しておきながら恋愛感情がない?
この後に及んでどこまで私の心を逆撫でするんだろう。
「リナ、私の話を聞いてくれるかしら。少し長くなるけれど…」
サラお嬢様は紅茶で喉を潤すと、再びゆっくりと話し始めた。
「貴族の世界では政略結婚が当然のこと。我が家の財力を欲して婚約の話がありそうだったの。
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