9 第一部 最終話

4/8
前へ
/46ページ
次へ
貴族の娘として責務は弁えていたつもりよ。でも、兄と同じように勉強して、父の仕事を手伝ううちに、働きたいと思うようになったの。貴族として嫁いだら、跡継ぎを産むことが優先される。そんなこと嫌だったの。どうせ愛のない生活を送るなら自分のやりたい仕事をすることを選ぶわ 正式な申し込みが来る前に急ぐ必要があった。 わがままなのは分かってる。でも姉達は嫁いでいるし、家族は私一人ぐらい自由にしてもいいと言ってくれたわ。 婚約の申し込みが来ないように表向きは、平民に嫁いで、貴族籍を外れる必要があった。 我が家の商会なら安定しているし、生活に困ることはない。 その中でもルーカスは容姿も素敵で、貴族のお嬢様が一目惚れしたとしてもおかしくないでしょ。一番信憑性がある都合の良い人物だった。 リナのことは知っていたわ。 貴族世界では愛人を持つ方もいるし、私はルーカスとリナが付き合ったままでも構わなかったのよ。リナの子供を後継者にすればいいと思ってたのよ。 でもルーカスは嫌だったようね。 あなたと別れることにしたみたい。 あなたのことを、大切に想ってたのね。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

42人が本棚に入れています
本棚に追加