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2 後悔
今までは早めに商会へ行き、ルーカスとその日の業務内容を話し合うのが日課だった。ルーカスが業務に専念できるように雑用や補佐の役割を進んで申し出ていた。日中は忙しいからそれが2人だけで過ごせる大切な時間だったから。
ただその日の予定を話すだけだけど、自分が認められた気がして、いつかこうして2人でこの商会を切り盛りする時がくるのだと、未来へと期待が膨らんでいた。
そう、そこが私の場所なんだと、他の誰にも侵すことの出来ない場所なのだと勘違いしていた。何があっても誰にも奪われることのない私の場所だと。
「おはようございます。サラお嬢様、若旦那様」
「あら、リナおはよう。」
朝の挨拶を終えると早々に退室する。
あそこは私の場所だったのに…
サラお嬢様の来られる頻度は日に日に増した。今では毎日来られるのが当たり前になった。そして、毎朝ルーカスと行っていた業務連絡は私ではなくサラお嬢様の役目となっている。
ルーカスのことは、もう名前で呼ぶことは許されない…
軽く挨拶こそするものの、直接的な指示はサラお嬢様から行われるので、あれからルーカスとはまともに話せていない。
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