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放課後、いつものようにルーカスと一緒に並んで帰る。
そう、もうこの頃には一緒に並んでることが嫌ではなくなっていた。自分の容姿のコンプレックスはあったけど、隣に並んで歩くのが日常になっていた。まぁ、すごく会話が盛り上がるということはなくて、ただ、一緒にいる…そんな日常だった。
「リナ」
隣を歩くルーカスが珍しく話しかけて来る。ふと見るとルーカスは落ち着かない様子。他の人なら見落とすだろうけど、私には分かる。
「ふふ」
「ん?なぜ笑う」
「だって、ルーカス、なんかそわそわしてるから」
ルーカスは虚を突かれたように固まり、立ち止まった。あれ、そんなに嫌だったかな。
「ごめんね笑って。なんか完璧なルーカスがいつもと違うからつい。」
「僕は完璧じゃないよ。ただ…努力してるだけ。リナ、こ、こ、ここれを。家に帰ったら開けて。絶対だよ。」
ルーカスは今まで見たことがないくらい動揺していて、顔が真っ赤だった。
キョトンとしているとルーカスは私の手に包みを持たせると、反対の手を引っ張り歩き出す。そんなに急いで帰りたいの?
『ルーカス、待って。それに、何これは?
』
「じゃ、ここでまた明日。」
いつもの所で別れ、ルーカスはスタスタと歩いて行った。その歩き方はなんだかぎこちなくて、ちょっとおかしかった。ルーカスの後ろ姿に向かって声をかける。
『ルーカス。なんか分からないけど、ありがとう』
ルーカスは一瞬立ち止まり、軽く頷いた気がした。そしてそのまま振り向かずそそくさと帰って行った。
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