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3 終わったこと
商会の一日は慌ただしい。午前中は取引先へ配達へ行く者、仕入れ先卸し先を確認する者、ミスがないかのチェックなど、午後からは次の日の配達の確認準備と詰まっている。
明確な休憩時間は決まっておらず、キリの良いところで一息つくようにしている。旦那様も適度に休憩を挟みながら働いた方が仕事の効率がよくなるとおっしゃっている。
私は一息つこうと休憩室へと向かった。休憩室には先客がいるようだ。扉が少し開いており中から話し声が聞こえる。私も中へ入ろうと扉へと手をかけたが、そのまま開けることはできなかった。
「ねぇルーカスはどう思う?」
サラお嬢様? もしかして中にルーカスもいるの?
私は立ち聞きするつもりはなかったのだけど、何故か凍りたように動くことが出来なかった。
聞きたくもないのに、容赦なく私の耳に声が飛び込んでくる。
「あ、どうって?」
「もぅルーカスったら、ふふふ。アーノルドの話を聞いてたの?」
休憩室には数人の従業員もいるようだ。アーノルドさんは父と同年代の方だ。
「サラお嬢様、その質問はルーカス坊ちゃんには酷な質問ですよ。坊ちゃんすみません。こんな話聞かせるつもりはなかったのですが」
「
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