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「じゃあ、あいつが帰ってきたらちゃんと伝えてやれよ。お前の本心が分からなくて、不安になってるとこもあるんじゃね?」
壱弥が発情すると分かっても一緒にいるんだから、響の本心なんて、十分伝わってると思うけれど。そんな気持ちが表情に出ていたのか、英司が「これだから童貞処女は」とわざとらしく溜め息を吐く。
「お前、最近のコンプラの厳しさ舐めてんの?」
「ごめんなさいボス。いやでも本当に、ちゃんと言葉にしないとダメなことってあるから。な?」
先輩風を吹かす英司の態度は気に入らないが、確かに一理あるかもしれない、とも思った。
英司とのオンライン接続を終わらせ、マグカップのコーヒーを飲み干す。壱弥が帰ってきたら、英司の意見を採用してみようかと考えながら、仕事部屋を出た。
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