イソノ

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 満州国の港にいた彼の名前はイソノであった。これから日本に戻ったらまず両親に会うことにした。親友たちにも会おう、と彼は思った。  彼は満州国で不動産業を仕事にしていたが、東京に戻って来いと言われたので戻ることにした。  彼は日本の機密情報にほんの少し詳しかったが、親戚が軍部にいたからだった。彼は日本語のほかに英語やフランス語もできたが中国語もできた。  港で船に乗ろうとしていたらいきなり訳がわからなくなった。意識を失ったという記憶はあった。  気が付くと彼はベッドの上に横になっていた。周りを見てみると船に乗っていた。彼は乗っている船は日本に向かっているのだろうと思っていた。日本に向かう船のわりに周りに中国人が多いような気がした。 「香港」と周りの人の一人は言ったような気がしたが、彼は訳がわからず一人でベッドの上に横になりぼんやりしていた。太平洋戦争の最中であったことを思い出して目を閉じた。するとまた意識を失った。  彼は乗る船はもっと質素なものだと思っていたが予想したより大きな船であった。
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