「突然」

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「突然」

中学2年生になって 僕とカーコは同じクラスになった。 彼女は数学が大の苦手で、いつも補習を受けさせられていた。 手紙によく「なんで私はこんなに馬鹿なんだろう」 そう書いていた 。 自分に正直で 隠しことが 、嫌いな彼女は、 いつも僕に「私のことが嫌いになったら必ず言ってね」 そう書いたあとに、 「ダメ絶対嫌いにならないで」 「だって君のことが大好きなんだから」 そう書いてあった。 僕は、その頃つま先で歩く癖があったみたいで 彼女の手紙には 「 私何だかこの頃君の歩き方に似てきちゃったよ。つま先で歩くこと♡)」 二人はとっても恥ずかしがり屋で 「私達、本当に手紙だけだね。話そうと思うんだけどなかなか話しにくいです。 意識しすぎかな? 本当にこれからは気楽に話せるようになろうね。 君から話しかけてきてくださいね。 もう一度しつこいけど 私はあなたが好きです♡」 こんなことも手紙に書いてあった。 2学期になり 体育祭でフォークダンスを 踊ることになった。 野球部の友達は「俺は彼女とずっと一緒に踊るんだ」と言っていたので 僕もそうすることにしました。 彼女にそのことを伝えると、 恥ずかしそうにしていたけど、とっても喜んでいた。 体育祭の当日 音楽が流れると僕は彼女と踊った。 本当はパートナーチェンジするのだけれども 僕たちはずっと一緒に踊っていた。 冷やかしながら仕方ないなって顔で 両サイドの人は、譲ってくれた 。 この幸せな時間が 永遠に続くと、思っていました。 しかし 、2学期の終業式の一か月前に、あの手紙をもらった。 Dearラフ・キャット君 突然こんにちは このことは口で言おうと思ったけど きっと大泣きをするから 手紙に書きます。 私は24日に引っ越しします。 父の仕事の関係で広島に行くことになりました。 私の書くことを真剣に聞いてください。 今から私の気持ちを 恥ずかしいけど素直に書きます。 今一番心配なのは君のことなのです。 どんなに仲良かった友達と別れるより君と別れる方が辛いのです。 私は今まで色んな男の子を好きになってきましたが、 君という人を好きになって 今振り返ってみるとやっぱり 君が一番好きです。 私のこの気持ちを分かってくれる。誰よりも うひゃー恥ずかしい! 私にとって必要な人となってしまったのです 前に友達と「好きな子のいない生活なんて考えられない 。」と話していたけど、 それが本当に現実になってしまったのです。 こんなに悔しいことはありません。 君は軽い気持ちで私と付き合っていたのですか? 異性に対する好意とは一体どんなものなのですか? 君は私に対する今の気持ちはどんなんですか? 教えてください。 本当に私は君のことで胸がいっぱいなのです。 顔にはそういう風に見えない? この前友達に引っ越しすることを話したら 「海斗君の前で 泣いたらあかんよ」と 言われたからなのです。 そうよね君だって悲しんでくれるんだよね。 私が泣いたりしたら駄目よねと、自分に言い聞かせているのです。 1日1日と迫ってくるごとに、私の心も 一つ一つ縮まっていくのです。 とても不安です。 人を好きになればいつかは別れる日が来るのですね。 別れる日までの楽しい思い出が、 たくさん残っているから余計別れるのが辛いのです。 私の辛い気持ちが分かってもらえます。 あ〜あ〜この世に生まれてこなかったらよかった。 今この手紙を書いていても 涙が出てくるのですよ。 私は君に、言いたいこと。 向こうに行っても続く限り文通してください。 好きな子ができたら教えてください。 そうしないと私が辛いから。 私の今の気持ちはこれぐらいです。心の中の奥の深い気持ち。 私に返事の手紙をください。 出来れば早い方がいい。 明日必ずくださいね 。 君の本当の気持ちをはっきり書いたものを私にください。 ごめんね! ではバイバイ                        byカーコ この手紙を読んで僕は涙が止まらなかった。 手紙を書こうと思って、ペンを握っても何を書いたらいいのか? 彼女も 勇気を出して書いてくれたんだから 頑張って書かなくっちゃ。 Dearカーコ こんにちは! 突然のことで 悲しみとショックで 呆然とした頭でこの手紙を書いています。 君と出会った瞬間から今まで 、 君のことが大好きで大好きで 手紙には、書くことができても 恥ずかしくて あの公園で 告白した時を最後に面と向かって「好き」と言えなかった。 それが君を不安にさせたんだね。 ごめんなさい。 君と一緒の高校に行きたくて 数学の勉強も一緒にしたね。 このままずっとずっと君と一緒にいられる。 君と離れることなんて考えたこともなかったから すごくショックです。 ショックどころの話ではない。 嘘であってほしい。 何度も言うよ 僕は君が好きで好きで大好き です。 現実は残酷なものです。 でもこの現実を受け止めなくてはいけない。 24日まで 1ヶ月 毎日一緒に帰ろう。 そして毎日僕は君に「好きだって」言うよ。 離れ離れになっても繋がっていれるように、 いっぱい話そう何でも話そう。 離れるだけで別れるわけではない。 別れられないようにいっぱい話していっぱい思い出作ろう。 これが僕の素直な気持ちです。 伝わってくれると嬉しいです。 ではバイバイ                          byラフ・キャット そして僕たちはお別れの日まで 毎日一緒に学校から帰った。 出会った時から思い出話やどれだけ 自分が好きなのか 転校しても 絶対好きなままでいる。 彼女が生まれてから今までのことと 僕が生まれてから今までのことを全部話した。 お互いこれからの夢の話をした。 最後の日には必ずキスをしようと約束をした。
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