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「再会」
高校3年生の卒業前に、
中学の友人からカーコが就職の面接でこっちに来る。
そう教えてくれた。
友達のセッティングで僕達は会うことになった。
その日は面接も終わり広島に帰る彼女の見送りが僕の役目です 。
新幹線の出発の時間まで2時間ほどの間 、
新大阪のカフェで、僕たちは、二人が別れてからの今までの生活のことや。
面接を受けた会社のこと、僕は 進学先の大学のこと、思い出話などを話した。
僕は野球部だったので彼女と一緒にいた間ずっと坊主頭だったので、
髪の毛が生えた僕を見たのは、彼女が初めてだった 。
何度も僕の髪を触って彼女は笑っていた。
時間が来たので、入場券を買って、新幹線のホームに見送りに行った。
出発のベルが鳴ると 彼女が僕に抱きついて キスをした。
突然のことでびっくりしたけど僕は彼女をきつく抱きしめた。
彼女は大きな瞳から大粒の涙を流して 新幹線の中へ消えていった。
新幹線が見えなくなるまで、僕は手を振っていた。
2度のキスが、2回ともお別れのキスになってしまった。
「キスの意味」
しばらく僕は、新幹線のホームで立ちすくんでいた。
彼女のキスの意味は何だったのか?
あれは別れのキスではなく、
もう一度ふたりが恋をするための
キスだったっていうことに気づいた。
僕は、なんて鈍感なんだ。
僕たちふたりは 切れない縁で結ばれている。
僕が抱きしめてキスをするべきだった。
待ちきれず彼女が、キスをしたんだ。
なんてバカなんだ。
もう彼女を離したくない・・・
どれくらい時間が経っただろうか。
重い足取りで家まで帰って
彼女に電話した。
「もしもし、もう家に着いた? 」
彼女は、驚いていた。
「見送りありがとう。」
「まだだよ 今買い物をしている。 どうしたの?」
僕は、
「君に大事な話をするのを忘れていた。」
彼女は、
「なに?なに?なに?」
僕は、
「会って話さなければいけないから 週末そっちに行くよ」
彼女は、
「週末来てくれるの?」
僕は、
「もっと早く 君に会いに行くべきだった。
僕はあれから新幹線のホームでずっと立ち尽くしていた。
そしたら頭の奥で 会いに行かなくっちゃって 声が聞こえてきたんだ」
彼女は、
「 嬉しい !とっても嬉しい。
あの別れ方はもう二度と会えないと思って
新幹線の中でずっと 泣いていたんだよ。週末空けとくね。」
僕は、
「 ありがとう。時間と待ち合わせ場所決めて連絡します。」
電話を切って新幹線とその晩泊る駅前のホテルを予約して
彼女から今までもらったすべての手紙を読んで寝た。
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