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「ねぇ、うた先生」
今夜の夕飯はお鍋。お父さんとお母さんは、あーんさせあっている。瑠璃お兄ちゃんはせっせと鍋奉行をしている。
「なんだい翡翠くん?」
「なんで当たり前に夕飯食べてるの?」
家族の夕飯に当たり前に溶け込んでいるうた先生。ちなみに瑠璃お兄ちゃんも僕も女体化している。うた先生もにょたチョコ男子だけど、男の姿は一度も見たことない。
「あら。翡翠、駄目よ。今日のお鍋の味付けはうたうものさんがやってくれたんだから」
お母さんは、うふふと笑う。何となく察した。お母さんが面倒臭かったんだ。
「いいじゃん。俺もうたうものさんには料理教わっているから」
瑠璃お兄ちゃんもうた先生をかばう。うちはお母さんもお父さんも瑠璃お兄ちゃんも料理ができる。わざわざ、うた先生に頼らなくても良さそうなのに。
「まぁ、やっぱり料理するなら誰かのために作りたいですから。そうだ! 翡翠くんもそろそろ料理始めてみる?」
「駄目!」
うた先生の提案に瑠璃お兄ちゃんが即座に否定する。
「翡翠に包丁持たせて怪我したらどうするんだよ! 翡翠の綺麗な肌に傷付いたらどうするんだよ!」
瑠璃お兄ちゃんは今夜もスーパーブラコンを発揮している。
「そうならないように教え」
「うた先生、僕やめとく。教わるときは瑠璃お兄ちゃんに教わるから」
「うへへへ……。翡翠は可愛いなぁ……」
「仕方ないですね」
瑠璃お兄ちゃんは上機嫌。うた先生は呆れていたけど。僕が女体化したから瑠璃お兄ちゃんがブラコンになった訳でなく女体化する前から瑠璃お兄ちゃんはスーパーブラコンだ。ブラコンって言葉は最近聞いたばかりだけど。あと、お父さんはロリコンらしい。瑠璃お兄ちゃん曰くあんぜんなロリコンらしい。
「さて、私はそろそろお暇しますね。明日、本業もありますし」
「もう夜遅いよ? うた先生、大丈夫?」
「大丈夫。カイくんに来てもらうので」
カイくんは、飼い主がげたんわお兄ちゃん、香多お兄ちゃん、うた先生の猪で猪さんの兄弟分だ。猪さんも賢いけど、カイくんも賢い。もう一匹、タッくんと五丁目さんが飼い主の八くんもいる。
「では、翡翠くん、また明日ね」
「はーい」
うた先生が帰ってから僕らはお鍋を空にする。
「食べたぁ。翡翠、先にお風呂入りなよ」
「はーい」
瑠璃お兄ちゃんに促されて椅子から下りたら、お父さんが立ち上がる。
「お父さんと一緒に入ろうか?」
言った瞬間、瑠璃お兄ちゃんとお母さんのボディブローがお父さんのお腹を襲った。
「女体化しているときは駄目だって言ったろ!」
瑠璃お兄ちゃんが息を荒くして吐き捨てた。駄目な理由がお父さんがロリコンだからなんだって。
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