にじいろの龍のおはなし

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気がつけば草木も静まり返り、湖面にはまたくっきりとした輪郭の狩人の月(ハンターズムーン)が浮かんでいる。 まるでここに、僕と龍だけが存在しているかの様な、時や音の存在しない空間。 龍は一度、ゆっくりと瞼を閉じ、黒くて深い瑪瑙(メノウ)のような瞳で僕を真っ直ぐ見つめた。 『のるかい?』 龍は大きな口を結んだまま、僕の心に直接語りかけてきた。 僕は頷き、ブランケットを肩で結び、龍の背中に飛び乗った。
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