7人が本棚に入れています
本棚に追加
ゴツゴツと硬い鱗を想像していたけれど、それは庭に咲く木蓮の花びらのように滑らかなものだった。そして龍は大きな体をフワリと浮かし、僕らは風になった。
湖が小さく離れていく。
山間にポツポツと光る家の灯は尚小さく、散らばる星達の輝きに似ていた。
『僕の家だ!!』
まだ灯りがついている。パパがきっと小説を書いているんだ。
僕はあの連載をすごく楽しみにしている。
いつも1番の読者になれるのが、僕の自慢で、読めない漢字をママに聞いても、ママも『わからない』というから、一緒に辞書を引いて、
『そっか!』と頷くと、
ママはママのお父さんの言葉を僕に教えてくれた。
景色はぐんぐん変わる。ここはどこだろう?
さっきよりも暖かい。
緑の山々は消え、代わりに色とりどりの山が見える。
柔らかな木々の香りも消え、鼻に刺さるごちゃ混ぜの匂いがする。
よく見るとそれは、
最初のコメントを投稿しよう!