にじいろの龍のおはなし

5/12
前へ
/12ページ
次へ
積み上げられたゴミの山で、弟達と同じくらいの小さな子供達が、遊んでいるようだった。 『どうしてあんなところで遊んでいるんだろう?』 僕が独り言のように呟くと、龍は身をくねらせて下降していった。 子供たちは、ゴミ山から何かを拾い集めている。 『ガラス瓶などを拾って、お金に変える仕事をしているんだよ』 『子供が?仕事をするの?学校はどうするの?あの子、靴を履いていないよ』 僕は初めての光景に矢継ぎ早に聞いた。 『この星にいるすべての子供たちが、毎日温かい食事をし、学校に通えているわけではないんだよ。君は、その靴をあの子にあげることができるかい?』 僕の足を包むモカシンを、あの子にあげることすら、結局僕はできなかったのだ。 『どうすれば、いいんだろう』 『それは、君がこれからたくさんの学びを通して、何ができるのか考えたらいいんだよ』 僕たちは再び風になり、迫るように木が生い茂る、熱帯雨林までやってきた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加