火垂るの墓

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火垂るの墓

火垂(ほた)るの墓』の雑学です。 原作となった野坂昭如さんの『火垂るの墓』は、直木賞受賞作品でもあります。 『となりのトトロ』との当時上映で制作された作品ですが、当初60分くらいの作品になる予定だったのが、尺を伸ばしたため時間が足りず、なんと! 一部のシーンは作画が未完成の状態で公開されてしまいました(清太が野菜を盗むシーンは、色がつけられていませんでした)。 公開初日に観に行った人は、一部のシーンに色がないことに違和感を覚えたようでした(未完成版を観れた人は、ある意味、ラッキーともいえますね^^;) 公開してしばらくして、ようやく作画が完成し、後から観に行った人は完全版を観れたようでした。 * * * ・B29の空襲シーンは徹底した取材に基づいている。 B-29がどの角度で内地に侵入するのか、そして、尾翼に書かれている記号など、史実を徹底的に調べて作画したとのことでした。 * * * ・観艦式のシーンは、エヴァンゲリオンの監督で有名な庵野秀明が作画したが、夜のシーンであったため巡洋艦の細かい描写はすべて黒塗りされてしまい、庵野秀明にとってのトラウマとなった。 庵野秀明さん、かわいそう…… * * * ・節子の声優は当時5歳だった。 5歳の子が、動画に合わせて話せるはずもありません。 そこで……先に節子の声を収録し、それに合わせて動画を制作したそうです。 * * * ・清太が、通帳に7000円も入っていたことに喜ぶシーンがあるが、当時の7000円は、現在の価値で1300万円。 帝国海軍の巡洋艦の艦長ということで、お金はたくさん貯めていたようですね。 しかし! 日本は戦争に破れ、経済は破綻します。 預金封鎖と新円への切り替えが行われたため、7000円の貯金は戦後、現在の価値で380万円まで下がってしまいました。 * * * 私は『火垂るの墓』を観て、とても興味をもったので、野坂昭如さんの原作も買って読んでみました。 映画版とはいろいろと違うところもあり、興味深かったです。 ここからは、原作『火垂るの墓』の雑学です。 ・「蛍」を「火垂る」と書いたのは、空襲とイメージを重ねるため。 * * * ・原作『火垂るの墓』は、6時間で書き上げた。 私も速筆な方で、私のエブリスタ作品のほとんどは数時間で書き上げていますが、本1冊を6時間で書き上げるとは、さすがは直木賞作家様ですね^^; * * * ・作者、野坂昭如は、直木賞受賞発表と同時に、一時的に行方不明になった。 人嫌いだからそうです^^; * * * ・「節子」は、野坂昭如の養母の名前でもあり、初恋の子の名前でもある。 * * * ・『火垂るの墓』は、野坂昭如の贖罪のための作品だった。 野坂昭如さんは、実の妹に冷たくあたっていたそうです(そして、その妹は幼いうちに亡くなってしまっています)。 その贖罪の意味を込めて、『火垂るの墓』の主人公、清太は妹のために全力で生きる設定にしたそうです。 * * * では、最後に映画版『火垂るの墓』の雑学をもう一つ紹介します。 ・公開から30年後、映画ポスターに描かれていたあるものに世間が気づいた。 映画『火垂るの墓』が公開されて30年以上が経過した頃、ポスターに密かにあるものが描かれていることに気がついた人がいました。 ポスターは、清太と節子の周りにたくさんの蛍が飛び交っているというものでしたが…… 黒く見える空をよ~~~~く見ると…… B-29が描かれていたのでした。 蛍が飛び交っているように見えるシーンは、実は空襲で、焼夷弾がたくさん投下されているシーンのようにも見えてきます。 「火垂るの墓 ポスター」で画像検索してみると、検証画像を見ることができます。 この事実が30年間、誰にも気づかれていなかったことにも驚きです!!
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