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「ちょいとお前さん、いつまで寝てるんだい。もう昼だよ」 「んぁ? なんだお前ぇか」 「なんだじゃないよ。  布団敷かずに寝ちまったのかい?」 女房に揺り起こされた六兵衛がむくりと起き上がると頭が割れるように痛む。 「いやあ昨晩は飲み過ぎたみてぇだ。  痛たた…  ん、なんだこりゃ?」 六兵衛がおでこを押さえようと手を上げたとき、左手からくしゃくしゃの紙切れが出てきた。まったく記憶にないが、これを握りしめて寝ていたようだ。 眉間にシワをよせたまま紙切れを広げると、そこには意味不明な文字のようなものが書かれていた。 「おい、ちょっと来てみろよ」 「なんだい、こっちは忙しいんだよ」 「まあいいから こいつを見てみろってんだよ」 紙切れを手渡された女房は怪訝そうな表情でそれを上へ向けたり下へ向けたり首を傾げたりして眺めてみたが、何が書かれているのかさっぱりわからない。 「これって字かい? それとも何かの印かねぇ?  誰からもらったの? 」 「いや心当たりがねぇな」
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