3rd part

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8月2日。夏休みも10日近く過ぎた。 その日は佐橋の誕生日だった。 朝に佐橋におめでとうLINEをし、 父と母が出かけるのを玄関で見送った。 「葵。カレー作って食べなさい。あとは 少しお金を置いて行くから」 「はーい、行ってらっしゃい」 8時40分にひとりになり、彼にLINEした。 『由貴、おはよう。何してる?』 数分後、返信が来た。 『勉強』 でしょうね。ホント、真面目な奴。 『今日から4日の夕方まで両親不在。 うちに泊まりに来てよ』 『勉強にならない』 『どうせ毎日、家に篭ってるだけでしょ? たまにはカレー作ったり、ゲームしようよ』 『却下』 何てことだろう。 羽を伸ばせる絶好のチャンスだというのに。 果たして、彼をその気にさせる方法は? 『ねえ。僕を抱きたくないの』 かなり恥ずかしかったが、ダメ元で送った。 しばらく返信がなく、やっぱりダメかと 思っていた矢先、彼から意外な返信が来た。 『コンドーム用意して行く』 何だ、やる気満々じゃんと笑ってしまった。 10時ジャスト、 自転車に乗った彼がやって来た。
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