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JR船橋駅から総武線に乗り、数駅。
本八幡駅で降りた。
駅から徒歩ですぐの書道道具の販売店は
品揃えに定評があり、部活のメンバーも
多く通う。
顔見知りになった店長さんに挨拶し、
父の見立てで太筆を2本購入した。
「小遣いで足りるか」
ポケットから財布を出そうとする父を制し、
「大丈夫。それより文化祭には来られそう?」
と訊いた。
「ああ。土曜日なら行けるよ」
今年の文化祭は、11月11日。
店を出て、本八幡駅に向かって歩いた。
「何か食べて行くか」
「船橋に帰ってからで。早く帰って、
買った筆を下ろしたいし」
「ん」
改札を抜け、ホームに上がると
ちょうど船橋方面の電車が停まっていた。
「東武に寄りたい」
電車に乗り込み座席に座ると、父に言った。
「いいよ。ごはんのお供シリーズか」
「うん」
父が言う、僕の好きな瓶詰めを売る店が
駅前のデパートに入っている。
「たまには外食してもいいんだぞ」
「母さん起きてくるかも知れないし、
ごはんを炊けば安上がりだよ。それより
父さん。午後は何か予定ある?」
「いや、ジムは夜に行くし空いてるよ」
「それなら部活の課題で1枚書きたいから
見てくれない?」
「いいよ」
「ありがとう」
船橋駅に着き、駅隣接の東武に入った。
下りのエスカレーターで地下1階へ。
人を擦り抜けながら、
お目当てのごはんのお供シリーズが並ぶ
店に到着した。
「俺が買ってやる。いくつでもいいぞ」
「ありがとう。もう決まってる」
キレイに棚に並べられている瓶詰めから
鮭明太とツナ明太を選び、レジに向かった。
「迷わない奴だな」
「もっと違うことに時間を使いたいんだ」
「そうか」
瓶詰めの入った紙袋を片手に
また人を擦り抜け、エスカレーターを上る。
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