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「あースッキリ♫」
シャワーを浴び、満足気な彼と
キッチンに立った。
「葵、じゃがいも切って。俺、炒めるから」
ランチはカレーと決まった。
母が用意してくれていた食材を冷蔵庫から
取り出し、手早く下準備をした。
「こうして葵とキッチンに立てるなんて、
夢みたいだ」
「そうだね。由貴、料理得意なの?」
「というか、中学から親が事務所経営してて
忙しくしてたから料理はやるしかなかった」
「あ、そうか。親御さん司法書士だもんね」
彼は僕の質問に答えながら、切った野菜を
次々と炒め、鍋に移し替えて行く。
「受験する大学、決まった?」
彼に訊かれ、小さく頷いた。
「由里さんが行ってるところ。書道科が
あるんだ」
「通学がまだ慣れないって言ってた。
葵が一緒に行って助けてやって」
「そうする。由貴は西千葉の大学だよね」
「うん。必ず合格したい」
「お互いに頑張ろうね」
豚肉をフライパンで炒めながら、
彼が微笑んだ。
「葵。先の話になるけど」
「何」
「大学を卒業したら、一緒に暮らさないか」
「うん。僕もそう思ってた」
「良かった。じゃあそうしよう」
どこに住みたい?と上機嫌の彼を見て、
幸せに浸った。
出逢ってからいろいろなことがあったし、
これからも悩みが生まれてくるだろう。
そんな時は2人でとことん向き合って、
乗り越えて行きたい。
もちろん楽しいことは素直に受け入れて。
僕にとっての理想の相手は間違いなく彼で、
彼にとっての理想の相手もたぶんきっと、
僕に違いないのだから。
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