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私が足を止めて、傘をさっと振ると、傘は元の姿、つまり箒に変わると、空中にピタリと静止した。椅子に座るみたいに優雅に腰掛けると、箒はコウモリを置き去りにして、闇夜に高く舞い上がった。
ダイヤモンドの欠片みたいにきらめく、細かな霧雨を通り抜けて行く。夜空になびく私の髪はきっと、地上からは金色の流れ星みたいに見えるはず。
下界を覗き込むと、ずうっと下の方で、コウモリが私を探してウロウロしているのが見えたから、クスクス笑いがとまらなくなっちゃった。私はすっかり楽しい気分になって、ちょっとイタズラしたくなってきた。
街中の信号機を赤にして、夜更かしさん達がいる家の灯りを消して回り、動物園の檻のドアを全部開け放つ。
――あっはっは!
箒もはしゃいで夜空を飛び跳ねて・・・・・・バサッ!
おっと、コナラの木に突っ込んで、引っかかっちゃった。
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