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バラバラッと大粒の雨が降ったみたいな音がして、実っていたどんぐりが落っこちた。
「うわぁっ!」
あれれ? こんな夜中に、誰かいたの?
私はコナラの木の葉にさっと隠れて、そうっと声の主をのぞいてみた。
「どんぐり? リスが寝ぼけたのかな?」
なんて言って、頭をさすりながらコナラの木を見上げたのは、髪はボサボサ、絵の具で汚れたシャツの男の子!
いかにも冴えない感じ……だけど、彼の瞳はキラキラ輝く夜空みたいなブラックダイヤモンド!
私は彼に見つからないように木から飛び降りた。そして恋の呪文を唱えようとして・・・・・・唇に人差し指をあてて魔法の詠唱をやめた。
彼の前に素敵なムーンレスナイトの景色を描いたイーゼルがあったから。私の胸がきゅんと鳴った。
人間みたいに普通の恋をしてみるのも悪くないかもね?
「ごきげんよう、人間!」
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