命のバトン

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 数分後、背中合わせにそれぞれ書き終えて見せ合った。 『アコ』『コウガ』  お互い言わなくても分かった。  明由の『ア』香子の『コウ』  2匹の命の名前が付いた。 「アコの事、よろしくお願いします」 「任せて」 「…あの」 「時間ある時は来てやってよ」 「…そんなん言ったら毎日来て入り浸りたいくらいですよ」 「本当?じゃあ合鍵渡すよ」 「え⁈」 「ん?」 「いや『ん?』じゃなくて…」 「何?」 「他人に実家の合鍵渡す人います?しかも今日初めて会ったばかりですけど…」 「だって俺ら、こいつらの親じゃん」 「…」 「(なん)かね、ココちゃんて他人…って感じがしない」 「それは…うん、何か私もそう思います」  中村さんが人差し指で鼻の頭を掻いている。 「…じゃ、あの…名前も決まった事だし、もう遅いし…ね?今日はとりあえずこの辺で」 「あ、はい…ですね。お邪魔しました」  じゃれ合っている2匹を撫でてから立ち上がった。
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