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初めて手をつないだ、あの胸の高鳴りを、今もかき消せすことができないでいます。
この国の西側に位置する竜ヶ丘の城を、私は今日も見上げて、ため息を一つ。
あなたに、会いたいのです。
せめて、一目でもいいのです。
親に決められた許婚者がいるというのに、こんな気持ちになるなんて、きっと許されないことなのでしょう。
でも、せめてあなたの顔を見て、声をかけたいと願うのは罪なことでしょうか?
あなたがいる城に、私は立ち入ることはできません。城のふもとの、こんな近くに私はいつもいるのいうのに。
これが、恋……というものでしょうか?
あなたに出逢うまでは、一人の夜が快適だったのに、今では一人きりだと孤独で押しつぶされそうです。
あなたを想ってこんなに苦しむくらいなら、出逢わなければよかったのかもしれません。
いっそのこと、嫌いになりたいです。でも……その真逆で、日に日に想いは募るばかり。
会いたくて、会いたくて気が狂いそうです。
好きです、とあなたに伝えられたら、……どんなに幸せなことでしょう。
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