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第十一話 誕生日
明日はLucyの誕生日だ。お祝いするのは今年で二度目になる。告知は特になかったが、フォロワーなら皆んな知っているはずだ。誰よりも早くメッセージを伝えたい。
畑はピーマンとカボチャの収穫期を迎えている。出荷準備を終え一段落したのは午後9時を過ぎていた。どんな言葉にしようか、風呂に浸かりながら考えていた。乙女心はよく分からないが、派手めなメッセージが良さそうだ。色々迷って、やっと決まったのは午後11時過ぎだった。あまり時間がない、時計を睨みながら心を込めて打ち込んでいく。誤字脱字がないことを確認するとエンターキーに指を置き、日付が変わると同時に指先に力を入れた。
カチッ!
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DekaTin
(*^ω^)ノ≪・。:*゚;+. パ-ンパ-ン!!
『Happy Birthday Lucy! 』
パ-ンパ-ン!!.+; *゚:。・≫ f(^ω^*)
0:00
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分刻みでコメントが増えていく。Lucyのために世界中から祝いのメッセージが届いているのだ。
苦労した甲斐あって、一番乗りすることができた。あとはLucyが読むのを待つだけ。気に入ってくれるだろうか、返信が待ち遠しい。
もう夜も遅い、明日は今日収穫した野菜を市場まで運ぶために4時起きだ。眠い目を擦り、マウスを動かす。あくびをしながらシャットダウンを押しかけた時、新着の通知が届いた。
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Lucy
ありがとう♪ o(≧▽≦)o ルンルン♪
覚えててくれたんだねーヽ(^0^)ノ
0:15
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なんとLucyからの返信だった。彼女もまだ起きていたようだ。メッセージを読み始めると、眠気は一気に吹き飛ぶ。彼女らしいメッセージで顔文字がとても可愛いらしい。返信を書き終えると添えられている顔文字を見てうっとりした。
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DekaTin
当たり前じゃないか (^o^)/
忘れるわけないよ<( ̄- ̄)>エッヘン
0:16
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Lucy
嬉しいよ(´•ω•̥`)シクシク
ほんと、嬉しいよー
。°(´∩ω∩`)°。エーンエーン
あんがとねーヽ(^0^)ノ
0:27
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DekaTin
来年も、再来年も
ずっと、ずっと
お祝いするからね(^o^)/
0:28
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しばらく待つが、Lucyの書き込みはそこで途絶える。おそらく眠ってしまったのだろう、いわゆる寝落ちというやつだ。一番乗りの達成感と共に疲れが押し寄せ、僕も布団に入って眠ることにした。
『おやすみ、僕のLu』
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