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「お、お兄ちゃん!」
私は必死に叫んだ。お兄ちゃんの目は視点が定まっておらず、意識が朦朧としているようだった。
「おい、行くぞ」
お兄ちゃんを後手に拘束したネモトが小太り男に呼びかけたけど返事はなかった。小太り男は夢中になっていて聞こえなかったんだわ。上着を脱ぎ捨てると私の胸元に目線を戻して、荒々しくズボンのベルトを緩めた。半開きの口端にはツヤツヤした液体が伝って、興奮は最高潮に達しているようだった。
「ハァア、、、ハァ、ハァ、、、」
男はブラウスの開けた襟元を両手で掴むと、少しずつ力を強めていった。力の強さに比例して残されてるボタンの悲鳴は大きくなった。男の腕は徐々に開かれていって、何がしたいのか分かると鳥肌が立ってきた。ブラウスを引き裂こうとしていたのよ。
「ハァ、ハァ、、、ヒッヒッヒッ」
「いやー!、、、や、やめてっ!」
「ハァ、、、ハァアー、たまんねえなあ!」
「いやよ!、、、いやーっ!」
抵抗したけど男の力に抑え込まれた私は無力。このケダモノはジワリジワリと私の身体をいたぶり、ねぶって、犯すつもりなのよ。身体からは力が抜けて、心の中に生まれた黒い点が分裂を繰り返して無数に増殖し、細胞の一つ一つを蝕んでいく。私はすべてを放棄した。
「タマタニ、いい加減にしろ!」
キトウが一喝したのはその時よ。タマタニと呼ばれたケダモノはブラウスから手を離すと慌てて振り向いたわ。
「キ、キトウさん、、、チェッ、いいところだったのによお」
毮るように上着を拾い上げると、もう一度私の身体を舐め回すように眺めた後、仲間達の方に向かったわ。
お兄ちゃんは私を庇うため、男達に両腕を抑えられて歩き出した。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
「だ、大丈夫やユキ、、、心配あらへん、、、ゲホッ!」
「ううっ、、、お兄ちゃん、、、」
「大丈夫やて、、、お、俺は何もしてへんのやから」
ほんの一瞬だけ振り向いたお兄ちゃん、肩の痛みで歪めた顔に笑顔を作った。
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